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43・雷撃

なんと!気づけば総合評価が100ptを超えていました!

皆さん、ありがとうございます!

初めての作品でこんなに読んで下さる方がいるなんて、非常に感激です!

今後も、楽しんで書くので頑張って見て頂けるとありがたい限りです。

ラークと別れたあと俺たちは街の塀を出て、他者を巻き込まない様に誰も居ない木が1本立ってるだけの平原にやって来た。

今日と明日である程度、シンティラに力の使い方を教え込まなければいけない。


特訓の為に一度、魔法具をすべて取った。


「さて、シンティラ。電気(グロム)を出して欲しいんだけど・・・」

「?」


本人は可愛らしく首を傾げているが、魔道具を取った瞬間からシンティラの周りでパチパチ音が鳴りっぱなしだった。


「まあ、いいや。とりあえず、どういう風にグロムが出てるか調べるから、体の力を抜いてくれ」

「はい!」


力を抜いてくれと言ったのに、気合たっぷりの返事を返してきた。

緊張しているせいもあって、なかなか電気(グロム)は収まらなかった。


「シンティラ、落ち着こうか。大きく息を吸って」

「すぅー」

「ゆっくり吐いて」

「はぁ~」

「もう一回やって」

「すぅー・・・はぁ~・・・」


シンティラに何度か深呼吸をさせると電気(グロム)は収まっていった。

その状況で体に検査魔法(サーチ)を掛けて体内を調べる。やはり臓器などは人間と同じだ。


「じゃあ、力を入れてみて」

「は、はい!」


シンティラが返事をするとすぐに体内の魔力の流れが変わった。

お腹の上辺りに魔力が集中して、圧縮されていった。魔力は圧縮されながら上半身と両手に膨れていき、そして・・・


バチ!バチバチバチバチ!

「っつ!」


放電を始めた。まだ体のルーン文字が有効になっているとはいえ、シンティラが張り切っているせいか、結構な痛みが体を襲った。


「よし。ありがとうシンティラ」

「いえ!そ、それよりご主人様、大丈夫ですか!?」


俺が痛みの余り、声を上げた事に心配してくれている様だった。


「大丈夫だよ。さて・・・俺もやってみるかな」

「え!?」


一度目を瞑ってイメージに集中する。

体の中心で魔力を圧縮していき、それを両腕と上半身に膨らませていく。

魔力を圧縮しながら、電気のイメージをしていく。イメージはもちろんシンティラが全身から放電しているイメージだ。そして・・・


バツン!バリバリバリバリ!

「お!うまくいったみたいだな」


全身からシンティラ以上の放電が起きた。


「さて、これを操作か・・・難しいな」

「ご主人様・・・大丈夫なんですか?」


放電しながら操作方法について考えていると、目を丸くしながらも心配そうにシンティラが声を掛けて来た。


「あぁ、大丈夫だよ」

「ご主人様も・・・電気(グロム)が出せるなんて・・・すごいです」

「まあ、ご主人ですから!これくらい当然です!」


シンティラが驚いていると、鵺が自慢げに言って来た。

鵺の中で俺はなんでも出来る超人的な者になって行っているが、そういう事はシンティラには摺り込まないで貰いたい所だ。


さて、放電してみてわかった事がある。それは魔力の消費量が少ない事だ。

最初の魔力を圧縮するところまではそれなりに魔力を使うが、その後の放電を継続させる事自体はそこまで魔力を消費しないのだ。

この放電を何とか方向性を待たせたいところだが、どうしたモノか・・・。

とりあえず、方向性や操作性を持たせる為にも両手だけに魔力を集中させてみた。

すると、両手だけから放電をはじめた。このまま敵に触ればスタンガンとして有効なのだが、折角の雷魔法なので中距離か遠距離に飛ばしたいところだ


とりあえず近くにある木に掌を向けて、掌から木に向かって雷を撃つイメージで力を入れてみた。すると・・・


ピカッ!ズッドーン!

「「ひっ!」」

ゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・


目が(くら)む様な光と共に、落雷独特の空気が膨張して音速を超えた時の衝撃音が鳴り響いた。

的にしていた木は上1/3が吹き飛んでいた。

あまりにも大きな音だった為、シンティラと鵺が小さく悲鳴を上げていた。


「う~ん。方向性を持たせる事自体は可能みたいだが・・・威力がオーバーキルだな」

「ご、ご主人様!わ、私もこれをやるんでしょうか!?」


威力が高すぎる事を考えていると、シンティラが怯えたように涙目になって聞いて来た。


「大丈夫だよ。もう少し考えるから・・・ただ、もしもの時は必要になるかもしれないから、一回はやって貰うけどね」

「は、はい・・・頑張ります」


今にも泣きそうではあるが、なんとか頑張ってはくれるようだ。


しかしこのままでは攻撃発動=瞬殺になってしまい、相手を生かすと言う選択肢が皆無になってしまう。

とりあえず、今度は木に向かって指を指す様にして同じくイメージをした。今回はもっと弱くイメージをした。


ッパーン!

「お!いい感じ」


今度は、弱い電撃が木に向かって飛んで行った。この強さであれば、全身が痺れるか失神する程度だろう。

今回はこの当たりでいいだろう。後々は工夫していけば何かに使えるかもしれないが、今は明日までにシンティラに力の制御させなければいけない。


「まあ、こんなモノかな。じゃあ、シンティラ」

「はい!」

「今から力の使い方を教えるよ」

「よ、よろしくお願いします!」


勢いよく頭を下げて返事をして来たところを見るとやる気は十分の様だ。


「じゃあ、まずは力を抑える所からね」


そういってシンティラの後ろに回り、肩に手を置いた。

そこから、シンティラの魔力に反発しない様に俺の魔力を流していった。


「いいか?シンティラ。今から電気(グロム)の鎮める方法から教えるから、感覚で覚えてね」

「は、はい!」


シンティラは元気よく返事をすると目を閉じて集中し始めた。


「お腹のこの当たりに電気(グロム)を出す魔力が溜まっている」

ビクッ!

「・・・集中して」

「は、はい」


シンティラのお腹の上辺りを触って魔力の位置を教えると、シンティラの体がビクッと動いた。それを注意すると、少し頬を赤く染めながら強く目を瞑って返事をした。


「ここに固まっている魔力を少しずつ柔らかくして、体中に散らばる様にしていく・・・そうそう、上手だ・・・」


俺が魔力で補助をしながら圧縮された魔力を体に散らしていくと、次第に放電は収まっていった。

放電が完全に収まったところでシンティラから手を放した。


「うん。電気(グロム)は抑えられたようだね!」

「え?あ・・・」

「シンティラちゃん、すごいです!」


シンティラの前に腰に手を当てながら言うと、シンティラは目を開けて電気(グロム)が収まっている事に気付いた。


「あ、私・・・本当に、本当に電気(グロム)を抑えられているんですね?」

「まぁね。後は常時そこに魔力が溜まらない様にしていけば、魔法具なしでも大丈夫になるだろ・・・おっと!」


魔法具が無くても大丈夫になる事を言うと、シンティラがいきなり抱き着いて来た。


「本当に・・・本当にありがとうございます!」


見ると、涙を流して喜んでいた。

それもその筈、シンティラはその制御が出来ないが故に普通の奴隷以上にツライ仕打ちを受けて来たのだ。

恐らくは、奴隷になった原因と言うのもその力のせいだろう。それが普通の者と同じようになれたのだ、その喜びは一入(ひとしお)だろう。


「しかし、ご主人・・・」

「なんだ?」

「シンティラちゃんに教えてる時のご主人、すごくエロかったです・・・」


何を言うかと思えば、鳥のくせにジト目でそんな事を言って来た。


「は?別に優しく教えただけだろ?」

「それにしては、体の触り方とか言い方がイヤラシイんです!シンティラちゃんもあんな風にされたらドキドキしちゃいますよね!?」

「・・・はい」


鵺の問いかけにシンティラは恥ずかしそうに俯きながら返事をした。別にそういう意図は無かったのだが、今後は気を付ける様にしよう。


その後、何度か体の内部に魔力を集中させて放電したり、その放電を一気に魔力を分散させて鎮めたりを繰り返して特訓を終えた。


宿に着く頃にはシンティラがすごく眠そうにしていたので、速やかに夕飯を食べて体を拭き、ネグリジェを着せて寝かしつけた。

夕飯を食べている最中も若干船を漕いでいたが、部屋に戻ると完全に意識が朦朧としている様だった。

仕方がないので服を脱がして体を拭いてやり、ネグリジェを着せた後、手当魔法(アッロワンセ)を掛けてやった。その間も特に恥ずかしがる事も無いほど、疲れ切っている様だ。


シンティラを寝かしつけたあと、俺は時間的にも早いのでゲンチアナから受け取った本を読み進めてから寝る事にした。


「なるほど、服従契約か・・・」


本に書かれているモノは魔物を使役する方法だった。


<魔物を使役するには3通りある。

・魔物の真名を探り、強制的に服従させる。

・魔物を極限まで弱らせて、契約印を魔物の体に刻み込んで使役する。

・特定の魔法陣を(もち)いて、(いにしえ)より存在するモノを召喚して契約を結ぶ。

この3つだ。>


どれも俺が読んだ事のある魔術書に書いてあるやり方である。

案外、昼間のラークと話していた『古い歴史書に載っている異世界人』が魔法使いや魔術師だったのかもしれない。


<また、使役した魔物は魔法陣を用いて召喚する事が出来る。>


つまり転移魔法みたいな仕組みなのだろう。そう考えると、転移魔法も研究すれば出来そうな気がしてくる。


<魔法陣は地面に書いて発動する事も出来るが、通常は紙や自身の体などに書き込んですぐに召喚出来るようにしておく事が多い。>


ゲンチアナはこの本を渡してくれた時に「自分には自分の魔導書がある」と言っていたが、おそらくはその魔導書に使役する魔物の召喚陣が書いてあるのだろう。

もし魔方陣をその都度書くにしても、そこまで難しいモノにしなければ大丈夫だろう。彼のソロモン王は72柱もの悪魔を召喚していたが、その魔法陣の中にはそこまで複雑では無く、覚えようと思えば覚えられるモノもある。

俺も、アモンやブエル・アスタロト・フルカスなどは未だに覚えている。


要するに覚えられればなんでもいいのだ。

そうして本を読み進めていき、眠気が来た所で今日は寝る事にした。


シンティラが気持ち良さそうに寝ているベッドに入ったところで、ふと気付いた事があった。


(シンティラを買ってからバタバタしていたので気付かなかったが、一緒のベッドで寝るのも手狭だし、明日にでも部屋を変えた方がいいかもしれないな。まあ、今日はしょうがないか・・・)

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