3・魔法レッスン
翌朝、さっそくゲンチアナに魔法を教わろうとしていた。しかし、一向に魔法は使えない。
「なぜ…使えないんだ?」
イメージをしてから教わった詠唱を唱える。それを4時間ほどやっているが・・・
まったくウンともスンともいわない。
「どうだい?使えたかね?」
昼飯の支度をしていたゲンチアナが見に来た。
「いいや。まったくダメだ。」
「そうかい・・・どれ、やってみよ。」
そういって近くのイスに腰を掛け、こちらを見てきた。
「Flammae illuminare et noctem,veni!」
シーン・・・・・・何も起きない。
「ふむ、魔力が手に集まっておらんの・・・。手に魔力を集めるイメージをするんじゃよ。」
今まで妄想はしてきたが、実際のところどういった物なのかもわかっていなかった。
「魔力って言ってもどうやってやればいいのか。そもそも、魔力自体がわからん。」
「なるほどな・・・そういう事じゃったか。なら、こうするとどうかの?」
俺の手を取り、ゲンチアナから何かが流れ込んで来るのがわかった。
入って来た何かは、体を通り右手の指先に集まり、そこからまた戻って左手の指先まで行き、また戻って足の先を右左に流れて行った。
なにかピリピリした感覚が動いているのがわかる。
「どうじゃ?感じるかね?」
「ああ・・・感じる。」
「そうさね。これが魔力じゃよ。」
ゲンチアナは俺の手を放し、イスに戻った。
「ほれ、もう一度やってみよ。」
「ああ」
深呼吸して指先にさっき感じた魔力を集めるイメージ。
同時に掌に火を灯すイメージをして、詠唱を始めた。
「Flammae illuminare et noctem,veni!」
ボウ!
成功した!掌を上に向け、前に出した俺の手に炎が宿った。
その時、感覚的に掌から魔力が噴出するように感じた。
「ほう、立派なものじゃの」
「ああ!だが、一つ気になることがある」
「何かね?」
「婆さん。昨日、詠唱していなかったよな?どうやるんだ?」
そう、昨日俺に見せたゲンチアナの魔法は詠唱が無かった。
「…あぁ、そうだったの~。しかし、慣れればお主も出来るかもしれんぞ」
「本当か!」
「あぁ、それだけ立派な炎が出せるのだからできるじゃろう。なに、昼ごはんを食べたら知識を教えてやろうかの」
そういって、ゲンチアナは席から立ってリビングへ向かった。
(やった!魔法が!憧れの魔法ができた。)
俺は握った拳を眺めながら笑みが止まらなかった。
初投稿なので4話一気に投稿しましたが、今後はゆっくり投稿していきたいと思っています。
見直しとかをしながらの投稿なので、4・5話先の話まで出来たら投稿しようと思ってます。また次回も読んで頂けると嬉しいです。