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16、先生?

「ん・・・朝・・・?」


夜明けで辺りが明るくなってきた頃、サーニャが目を覚ました。


「おはようございます。サーニャさん気分はどうですか?」


声を掛けるとサーニャは隣に座っている俺に目線を向け、固まっていた。

おそらく昨日は熱で朦朧(もうろう)としていて俺の事を覚えていないのだろう。


「改めて、自己紹介します。自分はミツルと言います。昨日、たまたまここであなた達に合い、あなたが病気だったので治療させて頂きました。」

「え・・・あ、ありがとうございます」

「ところで、気分はいかがですか?」

「あ・・・大丈夫です」


まだ、昨日の事を思い出せないのだろう。

戸惑いながらもこちらの質問には答えてくれた。


「今スープを温めて持ってきます。待っていてください。」


そう言い残し、昨日サーニャ用に作ったスープを温める為に馬車から外に出た。

外ではケイトが見張りの為に座っていたが、うたた寝をしているようだ。

まあ、自分が起きているので何か起こっても問題ないが、それを苦笑いしながらスープを温めなおした。


スープはウサギの内臓や肉を細かくして一人用の鍋に入れ、そこに臭みを消す効果や滋養効果のある薬草を入れて、クコの実と塩で味を調えた物だ。

栄養価と滋養強壮効果・薬効が凝縮された特性スープである。味も濃い鳥ガラとビーフスープのように濃厚だがしつこくないうまいスープである。


温めなおした後に魔法で少し冷まし、サーニャに持って行ってやった。



「本当にありがとうございます」


馬車に戻るとサーニャは落ち着きを取り戻したのか、頭を下げてきた。


「いや、気にしないで下さい。それより、まずは体力を回復させる為に昨日作ったスープを持って来たので飲んで下さい」

「あ、ありがとうございます・・・おいしい!」

「それは良かったです。スープが飲めるようであれば、もう大丈夫でしょう」

「はい、本当にありがとうございます!先生!」

「別に気にしなくて・・・ん?センセイ?」


自分自身の認識では先生というのは尊敬する人や何かを教えてもらう人に使うモノであって、この場で出てくるのは違和感があった。


「え?・・・はい、薬師様なんですよね?」

「薬師様?いや、自分はそんな大層な者じゃないですよ!」

「いえ、薬師様というのは皆さん偉い方ですので・・・」


話を聞くと、この世界の地位では平民の中でも

魔術師、魔法使い、治療魔法師、薬師、町村長、平民というランクがあるらしい。

それでいうなら町長や村長より上と言うと「様」が付いて当然なのだろう。

しかし、先生だとか薬師様だとか落ち着かなくてしょうがない。


「サーニャ!大丈夫か!?」


そんな話をしていると、カームが起きてきた。


「うん、大分楽になったから大丈夫」

「はぁ~よかった・・・先生!ありがとうございます!」


カームまで先生と言ってきた。


「俺は先生なんて呼ばれる程のにん・・・者じゃない」


少し危なかった。思わず「人間」って言いそうになってしまったが、ゲンチアナから「お主が人間という事は口外してはいかん!」と言われていた。

まあ、人間と言えば化け物的存在と言われているので当然の事だ。


「しかし、薬師様なんですよね?」

「確かに薬の調合や治療魔法は使えますが、普通の魔法使いです」

「「え!?」」


サーニャとカームが声を揃えた後、驚いた表情のまま固まった。


それもその筈。

先ほどの聞いたばかりの話で忘れていたが、薬師より治療魔法師はランクが上。そして魔法使いは治療魔法師よりランクが上なのだ。


「魔法使い様でしたか!これは大変失礼致しました!」


二人が土下座の恰好で頭を下げて来た。


「いやいや!頭を上げてくれませんか?そんな大層な者じゃないんで」

「いえ、薬師様であり治療魔法師様であり、魔法使い様でもあるお方!今までの無礼をお許し下さい!」

「いや、許すも何もそんな大層な・・・」

「治療の支払いは必ずお支払します!どうかお許しを!」


もう面倒臭くなってきた。俺はそんなにひれ伏して欲しい訳ではないし、そんな価値のある人間でもないと思っている。


「わかりました。俺が偉いと言うなら俺の頼みを聞いて下さいますか?」

「「はい!どのような事でも!」」


おおう、声を揃えて言われると迫力がある。


「ならば、普通の平民として接してください」


顔を上げた二人はしばらくまた固まってしまった。

トカゲ族って驚くと固まるのだろうか?


「し、しかしそれは・・・あの・・・」


サーニャが戸惑いながら声を発した。しかし


「<どのような事でも>俺の頼みを聞いてくれるんじゃなかったんですか?」


地位があるならそれを使わない手は無い。

少し強引ではあるが、おれとしては聞いて欲しい願いでもある。

それに、正直そんなにひれ伏されたら気持ち悪いにも程がある。


「いえ・・・しかし・・・そんな」


サーニャは何かを感じたのか黙っていたが、カームはまだ納得していないようだ。


「頼み・・・聞いてくれますか?」


笑顔だが少し威圧を込めて言うと二人は諦めたように納得してくれた。

だか、その後に起きてきたケイトによって同じやり取りを繰り返す事になった。

今度こそ、次は1週間以内に更新です。

多分、明日とかに更新はしません。

多分です。

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