11・武器の使い方
10話が短かったので、2話同時更新です。
さて、魔法の練習の次は刀の練習だが、何から練習するか少し考えていた。
鵺は魔剣の中でも珍しい副型魔剣なのだ。
副型魔剣というのは、朝聞いた時に鵺が教えてくれた物だ。
字の通り複数の型に変化する事が出来る。
刀・小刀二本・槍・鎖分銅と4種類に変身出来る。
今の所は自分に使えそうな物は刀と小刀二本の型だろう。
まずは、重さを確かめる為にも刀型から素振りを始める事にした。
「うん・・・扱いやすい重さだな」
「それは、一重にご主人と相性がいいからですよ!」
通常の正面切りの素振りをしばらく行った後、切っ先を正面に構えたまま半身で刀を水平にして引き気味で構える。一歩踏み込むと同時に突く動作。そのあとに中段横薙ぎ・左右の袈裟切り・左右の逆袈裟切り・切り上げ・下段横薙ぎの順に動作を確認していく。
「ふー、問題は無さそうだな」
「ご主人!」
少し休憩と同時に息を吐くと、鵺が興奮気味に声を発した。
「ん?なんだ?」
「すごいですよご主人!今まで僕をここまで使いこなせた人は居ませんでしたよ!」
「そりゃあ、お前は刀だから剣を振っている奴には使えないよ。」
「う~ん・・・そういうモノなんですか?」
鵺本人にもわからなかったのは少し意外だった。
「俺もこっちの剣の知識がある訳ではないから正確にはわからないが・・・刀っていうのは引いて切ったり刺したりする物だ。
対して剣は重さと腕力でぶった切る物だから、同じように使える訳がないんだよ。
それに俺は使う方法を知っていたからな」
「はぁ、なんだかわからないですけどそういうモノなんですね?」
(いや、本人が解らないってどうなんだ?)
心の中でツッコミを入れつつ、息も整ってきたので次の練習に移る。
次は小太刀二刀の練習だ。
小太刀二刀流は刀の持ち方が3種類ある。
両手共に正位・片手のみ逆手・両手共に逆手だ。
しかし、その内の両手逆手はほとんど使う事は無いに等しい。両手逆手は本来暗殺などの極至近距離で行う、刺したり、殴拳と同時に切る動作を主としているからである。
小刀二刀は近接格闘が主なので対象物があった方が練習になるだろうと思い、家の裏手にある森の中で木を相手に練習することにした。
森の中を進む事5分。
少し開けた休む場所もあるので、この近くで練習する事にした。
「ここら辺でいいだろう。鵺。小太刀になってくれ。」
「はーい!」
カチャカチャと音と共に両手に二刀が収まった。そのまま片方は鞘に仕舞い片方だけ振り始めた。右手で太刀の時と同じように振っていき、次に左手に持ち替えて同じように振り始めた時、鵺が声をかけてきた。
「あの~、ご主人」
「なんだ。」
素振りは止めず、そのまま答えた。
「なんで、2本あるのに1本しか使わないのですか?」
「ん?あぁ、最初は慣れるために片方づつやろうと思ってな」
「そうなんですか・・・なんか、2本あるのにもったいない感じもします。」
妙にテンションが低いというか、残念そうに鵺は言っているが、この後にも二刀で練習するつもりだったので、今は苦笑いを返しておいた。
一通り正位の握り方で振った後は、二刀での練習を始めた。
一本の小さな木を正面にして、
まず、左手の刀で枝を切り上げて右手の刀で腹の位置を横薙ぎする。
次に右手の刀で胸の位置を突いて、左手の刀で首の位置を払う。
そういった組合せを何通りも繰り返していった。
二刀流は基本は片手が防御を行い、もう片手が攻撃を行う。
ただ基本はそうだが二刀で攻撃や防御もするので、状況に応じて右手と左手を別々に動かす事に慣れなくてはいけない。
片手ごとの練習も大切なのだ。
「ふー、今日はこんなモンでいいだろ。鵺。戻っていいぞ。」
「はーい!」
鵺が元気に返事をすると鳥の姿に戻り、心なしかご機嫌のようだった。
「なんか楽しそうだな。」
「はい!だってご主人はすごい人です。ここまで使いこなせて貰える鵺は幸せです!」
「そうか」
鳥になった鵺の顎や首元を指で撫でてやると気持ち良さそうにしていた。
しばらく休憩していたが、そろそろ日も傾いて来たので帰ろうと腰を上げた時、何かの気配を感じた。
鵺もそれを感じたのか一点を見つめていつもの明るい声ではなく、真剣な様子で声を掛けてきた。
「ご主人・・・練習ついでに、実践にもなりそうですよ」
「・・・だろうな。二刀になってくれ」
「はい」
気配を感じる方向の草むらが揺れて武器を持った人の骨のようなモノが姿を現した。
鵺は小太刀になって両手に収まるとボソッと声を上げた。
「スケルトンですね。」
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