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3―1 でえと?

 人間誰しもが必ず持っている物がある。「欲」だ。その中でも生きるために特化されている強い欲が3つある。食欲、性欲、睡眠欲。これらをまとめて三大欲求と言う。これらの欲は誰しも絶対に持っており、生きるために必要不可欠だ。誰もが持っているからと言っても、欲の大きさには個人差がかなりある。一日寝なくても大丈夫な奴もいれば、俺みたいに毎日10時間は寝ないとダメな奴もいる。これは睡眠欲の差で起こる。中学時代の話だが「どの欲求に自分が特化しているか」みたいな、心理テストっぽいことをやったことがある。その中にあった問題だが、むしゃくしゃしたときのストレスを発散の仕方は欲求の強さで決まるものだと、書いてあったような気がする。焼け食いをするか、自慰をするか、それとも寝るか。このような状況で自分が、どの欲が特化しているかわかる。俺のテスト結果はずばぬけて睡眠欲が強いと、判定された。その答に俺はあっさり納得できた。何故なら、腹が減っていたって、眠いときは寝ることを俺は優先するからだ。なので、俺が寝坊したこともしょうがないと言えるだろう。何故ならそれも欲なのだから。

 と、詩人みたいな言い訳をした、ただいまの時刻、09:30。

 今日は未梨と9時に出かける約束をしている。どう控えめに見たって、今の時刻は9時を過ぎている。遅刻だ。It"s TIKOKU。今なら「ちょっと遅れちゃったぁ。ごっめーん」のレベルで済まされるが、着替え等の準備時間を考えると、なんだかんだで後30分は掛かりそうだ。ここはとりあえず未梨に電話を………。

「………」

「うわっツ!」

 俺は驚愕きょうがくの余り、至るところの筋肉が一瞬、強張こわばった。そして、ゆっくりと、本棚にもたれかかっている「それ」を見やった。

「……いつからいるんだ?」

 本棚を背に体育座りをしている「未梨」がこちらを見上げている。膝の上には、本棚から取ったと思われる小説が開かれている。

 そういえば……未梨はウチの鍵を持っているんだったな……。それにしても、朝から心臓に悪すぎる。おかげで強烈に目が覚めたが、あとちょっとで昇天するところでもあった。

「不法侵入はよくないと思うぞ」

 今日の未梨のファッションスタイルにテーマを付けるのならば、ずばり「女子中学生が無理して大人っぽい服着ちゃいました」だな。胸から上の肌が丸出しになっているキャミソールに、ジーンズを無理やり短く切ったようなショートパンツ。更に、手には白いダウンジャケットらしきものが握られている。これで、未梨10年間愛用のリュックサックを除けば、ファッションとしては完璧なんだがな。

「………」

 未梨は黙って家の鍵を見せてくる。玄関から堂々と入ったからわたしは悪くないと、でも言いたいのか? この野郎。

「あぁー。わかったわかった。俺が悪かったよ」

「……へいき。想定の範囲内」

 なんか微妙にムカつくこと言われたな。とりあえず着替えをしなきゃ始まらないな。近くのコンビニ行くんだったらともかく、遠出するのにパジャマはないからな。部屋のクローゼットを開け、何着か適当に取っ払う。

 俺は未梨の視線などダニの存在ほど気にせずにパジャマを脱ぎ始める。

「………」

 俺がパンツ一着だと言うのに無反応だ。が、未梨の底が見えない黒い瞳は、俺の裸体をしっかりと見つめている。例え、俺が裸になったとしてもノーリアクションで通すんだろうな。さすがに試す気にはなれないな。俺には露出な趣味はないし、まだ前科は欲しくない。なによりも、そこまで落ちこぼれてない。

 早々と着替えを済ませ、ベットに腰を掛ける。

「それで、今日はどこに行くんだ?」

「都会」

 アバウト過ぎだろ。一口で都会と言っても色々あるだろうが。俺にとっては田んぼが無いところは全て都会だ。

「まぁ、行くか」

 家を出る前に何故かオフクロが諭吉さんを二人ほど渡してきた。英世さんでも一葉さんでもない。紛れもない諭吉さんだ。いつもなら、なにもくれないオフクロが(請求していないので当然だが)今回は無言で渡してきた。ありがたく受け取りはしたが、なんの理由も無く、こんな大金を渡すとは考えられない。なにか裏があるんじゃないかと、疑ってしまうのも無理はない。そんなもやもやした気持ちでは使わないで終わりそうなので、理由わけを聞いてみると、

「未梨ちゃんと出かけるでしょ? 未梨ちゃんは未来のお嫁さんなんだから、なにか美味しいものでも奢ってあげなさいよ。あと今日は帰ってこなくていいからね。明日帰って来なさい。朝帰りね」

 我が母上はバカみたいなことを言い出した。未来のお嫁さんとは一体なんのことだろうか。幼い頃の記憶は曖昧だが、将来を約束していないことには確信を持てる。それと、今日は帰ってくるなとは、親が言う台詞ではないと思うのは俺だけであろうか。

「多分晩飯までには帰ってくるからな」

 そう言い残して、諭吉さんを2枚財布に突っ込み、家を後にした。



 昨日と打って変わらず、くそ寒い。もう五月だというのに、吐く息が肉眼で確認できる。温暖化を促す人間に、「こうなったら寒くしてやる!」とでも、地球が逆ギレでもしたのかね? やめてほしいね。

 女の子と一緒に出掛ける、なんていう事は別の言い方に変えれば「デート」とも言うだろう。俺は今まさに女の子と一緒に出掛けてはいるが、これは断じてデートではない。俺のイメージ上のデートとは、もっと和気藹々としており、もう少しハニカんでいるはずだ。

 いつものパターンなら俺の半歩後ろに未梨がいるが、今は俺の右隣に未梨がいる。その未梨は服装だけを見れば高校生にも見えなくはないが、背丈と発達していない胸を見てしまうと、どうしても中学生に見えてしまう。最近の発達のいい女子高生に比べたら未梨は大分出遅れている。かわいそうに。

 自宅付近の住宅街を抜け出した俺たちは、国道に出た。進行方向から逆算して考えると、行き先は大体予想できる。恐らく「待山まちやま駅」に向かっているのだろう。そして電車で、未梨の言う「都会」とやらに行くのだろう。

 国道に出れば、そこからは見るもの全てが都会だ。交通量は多く、どこを見ても必ず車が走っている。反対側の道に移るのだってわざわざ歩道橋を使わなきゃならん。見ているだけで疲労が溜まる。少なくとも俺にはそう感じられる。

 半時ほど歩くと、待山駅が見えてきた。駅かビルか区別がつかない。ていうか駅ビルか。いかにも都会の駅って感じで、俺は少し挙動不審気味におちいってしまうのも無理はないだろう。

「そっちじゃない」

 キップ売り場に行こうとすると、袖を引っ張られた。

「電車乗らないのか?」

「目的地、ここ」

「ここって……駅ビルのことか?」

 うなずく。

 確かにここは……都会だな。意外と近場なところをチョイスしたな。

「未梨、一ついいか?」

「なに?」

「なんか食べないか? さっきから腹が減ってしょうがない」

 今朝目覚めてから、(と言っても1時間ほどしか経っていないが)俺は飲まず喰わずでここまで来ていた。寝起きというものは、なにも食べる気がしないが、しばらく経つと急に飢えてくる。これは人間の七不思議に入る。

「どっちでも」

「よし、決定だ」

 街山駅の駅ビルは10階建て+地下2階のおまけつき。キップ売り場とは、反対方向にあるエレベーターに俺たちは向かう。エレベーターはガラス張りで、搭乗者は景色を一望できる。目的の階は、ビルの最上階。そこにはファーストフードから私店まで、ほとんどの飲食店が揃っている。

「なんか食べたいもんあるか?」

「任せる」

 俺は迷わずハンバーガーショップを選んだ。

「ここで食べるよ。えーっと、ダブルバーガーと………ポテトはMで、あとコーラはSね」

 と言って気付いたことがある。レジの店員はウチのクラスメイトだ。さすがに一ヶ月も経てばクラスメイトの顔ぐらいは覚える。名前はまだ覚えてないが確か……斉藤にスリーサイズを教えられた(むりやり)、あの女子だ。だからと言ってどうもしないけどね。大体彼女は気付いて無さそうだしな。

「はい。そちらのお客様は?」

 未梨は3秒間ほど、考えるような素振りを見せ、

「あまいもの」

 ずいぶんアバウトだな。

「こいつはシェイクで」

 1分もしない内に注文したものが出来上がり、彼女にトレイを差し出される。受け取ろうと手を伸ばすが、トレイには注文していない「チキン」がある。

「これ注文してないんだけど」

「わたしのオゴリだよ。デートがんばってね。仁井哉くん」

 彼女はスマイル0円にしては割りに合わない満面の笑みを浮かべた。俺が店長ならば彼女の笑みに称えて自給を50円UPさせるな。てゆうか、めっちゃバレバレだな。それに「デート」ではない。

「ただの付き添いだ」

 俺の言葉に彼女はクスクス笑うだけだった。まぁ、チキンをオゴって貰えただけに、強く否定をする気になれない。やっぱ払って、なーんて言われたくないからな。

 まだ昼前なので席はたやすく確保できた。未梨はシェイクを貰った瞬間からストローを加え続けている。一気に飲むと右脳痛くなるぞ。おい。

「………」

「このあとはなにするんだ?」

 未梨のシェイクから、じゅごごごごーっと残量がつきかけている音が漏れる。ホントに一気に飲みやがった。

「遊ぶ」

「なにをして?」

「言わない」

「そうかい」

 オゴリのチキンは妙に心に染み渡る味だった。



「確かに………ここは遊ぶ場所だな」

 ここは9階。綺麗に磨き上げられたフローリングには土足で入ることは決して許されない聖域。そう――ここはボーリング場。ボーリングは好きか嫌いの二択ならば、好きにカテゴライズされる。二択でなくても好きな部類に入る。キリンさんよりもゾウさんよりも、ボーリングが好きだ。ていうか大好き。これだけで俺はもう来た甲斐があるってもんだ。

「何ゲーム成されますか?」

「に……」

 2? 少なくないか?

「じゅう?」

 無理だろ。

「5ゲームでお願いします」

 それと靴のサイズを言い渡し、手頃のボールを探す。

 まさか未梨にボーリング場に誘われるとは夢にも思わなかったので、マイボールもマイグローブも持ってきていない。そんなにやりたかったのかね? まぁ、確かに、ボーリング場に行くのは一人じゃキツいからな。俺は一人でも行くけど。

「1ゲーム負けるたびに罰ゲームでもしないか?」

 俺がこんなことを言うのは少なからずボーリングには自信があるからだ。中学時代のときは、黄金の右手と呼ばれたぐらいだからな。この手で敗北を下した奴だって2人ぐらいは要るはずだ。

「罰ゲーム、内容」

「そうだな……敗者は勝者の言うことをなんでも聞く」

「わかった」

 頭上にある電光掲示板には「ミリ」さまの順番です、と、表示されている。未梨は背丈に似合わない15ポンドの球をフラつきながら構えている。他の人が見たら危なっかし過ぎて、見ていられないだろう。未梨は初心者を伺わせる力任せのフォームで、投じた球は無情にも右ガーターに沈んだ。よくそんな腕で罰ゲームの申し出に応じたものだ、

「未梨、ボーリング何回目だ?」

「初めて」

「初めて? そんなボーリングやりたかったのか?」

「………」

 ま、なんでもいいけどな。とりあえず勝たしてもらうけどな(最低)



 1ゲーム目終了。

 バカな。俺が負けるはずがない……負けるはずがないんだ!

 俺のスコアは170と、一般高校生の中でも、トップクラスには降臨できるすんばらしい成績だ。しかし、未梨は一球ずつ――確実に上達し続けて、最終的なスコアは180と、あっさり俺の記録を上回りやがった。後の方の未梨はほとんどストライクのみだったからな。

「罰ゲーム?」

 15ポンドの球を膝に抱えている未梨が言ってきた。ゲームに夢中過ぎて忘れていたが、罰ゲームがあるんだった。自分の首を自分で締めているとは、こういうことだろうな。だが、俺は諦めん。

「待て、罰ゲームは5ゲーム全部終わってからでいいだろ?」

 今から全部勝てばなんの問題もない。くそ……ボーリングとわかっていればマイボールを持ってきてたのにな。



 2ゲーム目。

 ここで未梨に一句。



『知らぬ間に カーブボールを 極めてる』



 未梨は、この短い時間の中で、テーブルに置いてあった「カーブボールの投げ方」と言う薄っぺらい説明書を読み、完璧にカーブボールを修得していた。忌々しくなるほどセンスある奴だ。

 そして5ゲーム目。これがラストゲーム。少なからず俺の指には疲労が溜まってきている。しかし! このゲームに負けるわけにはいかない! 全敗ということはなんとしても避けたい。まさに一球入魂全力投球!

「よっしゃぁ!」

 黄金の右手によって放り出されたボールは、ガーターぎりぎりのデッドラインから、自我に目覚めたのような動きで、全てのピンを弾き飛ばした。

 ただいま第9レーン。ここまで俺は全てストライクで来ている。ここから全てガーターでも自己ベストは大幅に更新されることになる。が、ここまで全てストライクで来ているのは未梨も同じこと。ここまで来たら負けられない。これはもう俺のプライドとの戦いでもある――負けられない戦いだ。

 電光掲示板に表示されている「ミリ」と「ニィ」のスコアにはストライクのマークしか印されていない。これに気付いた他の客は、自分たちのプレイを中断して、観戦モードに入っていった。まぁ、いい。俺はギャラリーがいるほど燃えるタイプだからな。

 この最大のプレッシャーの中での第10レーン。未梨は緊張を見せずに2連続ストライク。あと一球ストライクで幻のスコア300。


「なに? あの子たちプロかな?」「マジであいつら上手くね?」「うそ。マジで300いっちゃうのかよ」


 ギャラリーたちからは色々な声が聞こえてくる。たとえ本物のプロボウラーでも、こんな状況になればプレッシャーに負けるかもしれない。が、未梨は確実にストライクを決めてくる。これには確信を持てる。

 俺の予感は見事に的中。未梨は寸分の狂いないコントロールでピンを薙ぎ倒した。

 空白だった電光掲示板には「ミリ:300」と表示された。それを見たギャラリーたちは盛大な拍手を未梨に送る。

 未梨は満足気の表情で(俺の目にはそう見える)俺の顔を見てきた。

「ニィの、番」

「あぁ。わかってる」

 未梨はまさに余裕の表情を(俺の目にはそう見える)伺わせる。そんな風にしてられるのも今のうちだけだ。俺の本気を見せてやる。

 肺に入るだけ目一杯空気を吸い込み、8ポンドの球に全神経を集中させる。ほら――今の俺にはピンとレーンしか見えていない、いや、見えない。周りには誰もいない。音もなにも聞こえない。まさに――無我の境地!

 獲物を狙うときの鷹よりも、キレのある球がピンを全て薙ぎ払った。

「あと――2球」

 再び指先に全神経を集める。俺は球で球は俺。一球入魂! 決して決まり文句ではない!

 更にキレを増した球は全てのピンを吹き飛ばすと共に轟音をも轟かせる。

「うしっ!」


「あいつも後一球じゃん!」「ていうか超上手くない?」「あの女の子はパーフェクトなんだよな?」「あいつもあと一球だぜ」


 戻ってきた8ポンドの球を入念に磨き上げて、マウントポジションに立つ。その時だ。流れていたBGMが止まり、ボーリング場の明かりが全て消えた。そして俺と俺のレーンを照らすように明かりが点いた。これは……1時間ごとに1回ある「イベント」だ。1時間に一回、全レーンを照らされ、その中でストライクを取れたら、特製ストラップを貰えると言う「イベント」だ。しかし、「イベント」なら何故、他のレーンは照らされないのだろうか。答は天からの声によって知らされた。

「ただいま、そちらのお客様が後一球でパーフェクトゲームを達成成されます! みなさんどうか拍手を」

 止まったBGMに代わり、アナウンスが響く。頼んでもないのに粋な演出だな。おい。

 これは既にプレッシャーとの勝負。どこまで集中できるかで勝負は決まる。照らされているレーンとピン。黄金の右手の疲労は当にピークを過ぎている。それでも俺は右手の神経一本一本に残り全ての力を吹き込む。このために残しておいた『必殺技』もある。いや、それは嘘だけどね。そして――これが――俺の生き様だ!

 基本に忠実なフォームで腕を振り子のように振り上げ、リリースポイントを少し遅らせ、投じた。生命を吹き込まれた8ポンドの球は右ガーター直前で驚異的な曲がりを見せる。そのままピンに向かって一直線。そして全てのピンを吹き飛ばした。そのあまりにも大きい威力のため、何本かのピンは手前まで飛んでくる。

「うっしゃぁッ!」

 俺は思わず雄たけびを上げた。ギャラリー達も盛大な拍手で答えてくれた。

 幻のスコア300。それが今の俺の手によって築き上げられたのだ。

「ニィ」

「どうだ、未梨。見たか!」

「罰ゲーム、考えた」

「………」

 俺も言いだしっぺ敗北法則の犠牲者の一人か。いやになっちゃうね。



「キミたちの写真、撮っていいかな?」

 会計を済まそうとすると、男店員が薄っぺらい笑いを浮かべながら聞いてきた。

 突然の意図が掴めない質問に俺は顔をしかめ、未梨に至っては反応がない。何故見知らぬ店員に写真を撮られなきゃならん。

「なんでですか?」

 少なくとも店員は年上っぽいので、敬語で聞き返す。

「ほら、あそこ見てよ」

 店員は指を俺の真後ろに向けた。振り返ると、食物連鎖のピラミッドみたいな物に写真が貼り付けられていた。

「今まですごいスコアを取った人たちを、ああいう風に記録しているんだよ」

 ピラミッドの頂点に乗っている人物は、元気の良さそうな女の子が満面の笑みでVサインをしている。「うららちゃん:220」と書いてある。って、どうみても龍円寺さんだよな、これ。あの人なら自分に「ちゃん」付けしそうだし……てゆうかあの人は普段なにをやっているのだろうか。

「俺はいいけど……」

 と、未梨に目をやる。未梨は俺を3秒ほど見たあと、

「いい」

 と言った。時折り未梨は、考える仕草を見せるが、本当に考えているかどうかは怪しいもんだ。

「いいんですね! ありがとうございます! それじゃあ、いきますよ」

 店員はさっそうとレジの下から、デジタルカメラを取り出してきた。待て、早すぎだろ。

「チーズ」

 パシャ。

 いきなりチーズかよ。

 パソコンによって、プリントアウトされた写真を見ると、そこまでおかしくはなかった。俺はいつもの通りの表情だし、未梨に至っては磨き掛かった無表情。あの一瞬でこの写真が撮れるとは、もしかしたら、この店員はプロカメラマンなのかもしれない。

 しかし、一つ許しがたい点がある。

「なんで俺の名前が『ニィ』のまんまなんだ?」

「登録されたままのお名前でプリントアウトするんですよ」

 俺は断じて、自分の登録名を「ニィ」にした覚えはない。全て未梨の仕業か。この野郎。俺の本名忘れてやがるな。

 龍円寺さんの写真は一個下に降ろされ(なんか悪いな)、あらたに『ニィ&ミリ:Perfect』のツーショット写真がピラミッドの一番頂上に貼り付けられた。なんかまずいような気もするが、ま、いいか。

 ところで、




 罰ゲームはなんなんだ?

 続きますよ。


 最近更新が遅れており、楽しみにされている方(いるかな?)、申し訳ありません。短編小説を書いていたら、遅れてしまいました。今回のお話ですが、ただのボウリングですね。そして無口と二人きりは激しく書きにくかったです。ボケ担当がいませんから。さらに音楽要素もゼロ。いや、ホントすみません。きっと次話辺りでちょびっと出るかも。

 長いあとがきですみませんが、ここからは余談です(笑。最近気付いたことがあるんですが、今まで私の買った小説がほとんどが一人称なことに気付きました。しょうもない話ばっかりですみません。

 これからも「ぽーかーふぇいす」をよろしくお願いします。

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