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侵食  作者:
終わりの予感
6/30

草原



 「天国って、あると思う?」


 ある日、北山美月は田代加那慧に訊いた。


 「さあな。無いんじゃねーの?」


 彼の態度は素っ気無かった。美月もそれ以上追究しようとしない。


 「じゃあ、どうして人は長生きしたがるのかな」


 さあな、と彼は再び同じ言葉を口にした。


 「人それぞれだと思うが……今までの人生に悔いがあるんだろ、そいつらは」


 じゃあ、と美月も言う。


 「悔いが無い人って、早く死にたいって思うのかな」


 「それも人それぞれだろ。悔いがあってもなくても死ぬ時は死ぬし、生きる時は生きる。しぶと~く生き残ってる奴らは寿命が長いか精神面が強いかのどっちかだ。悔いが無くても死にたいって思う奴は、社会的弱者に部類されるな」


 「社会的弱者かぁ……。難しい言葉使うね、カナくんは。……う~ん、やっぱりカナくんといるとホッとする」


 「何だよ、ホッとするって。安心できる人って言えば、俺より友樹なんじゃないのか? やっぱ幼馴染だし」


 美月は苦笑する。そして、加那慧にしか聞こえないような小さな声でぼそりと呟いた。「うーん……。トモくんは優しいけど、たまに酷いこと言うから辛いよ」


 それから美月は立ち上がった。少し離れたところにいた友樹を見つけ、声をかける。


 「トモくん、もう帰らない? 今から帰らないと門限に遅れちゃうよ?」


 そうして三人は草原を後にするのだった―――。


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