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侵食  作者:
真相
29/30

過去の出来事4


 「美月。もうあの子に会うのは止めなさい」


 家に帰った私に待ち受けていたのは、父からの通告。……父が言った『あの子』が誰なのか、容易に想像できた。どうして、と私は言う。けれど、父は首を横に振るばかりで私の質問には答えてくれなかった。そこへ母がやって来て、気の毒そうな顔をして語りかける。


 「美月。あの子はね、小さな頃から病気を抱えているの。だから近づいたらだめよ」


 母が言う言葉の意味を、私は理解していなかった。ただ、何で、どうしてと怒りが溢れていた。そもそも、母が言うことは大袈裟過ぎる。深刻な病気を持っているのなら、今頃病院に入院しているじゃないか! 小さな頃からの病気でも、外を出歩いても大丈夫ってことは、それほど悪い病気じゃないじゃない!! お母さんの嘘つき!! 


 そうして私は両親の止める声も聞かず、外に飛び出す。両親に訊くより、彼に直接訊いた方が真実が分かるような気がした。一刻も早く彼のところへ行きたくて、必ずすべきことを私はしなかった。信号のついていない横断歩道で、私は左右を確認せず渡ろうとしたのだ。それはとても危険な行為。……覚えているのは、両親が私を追ってくる足音と、「待ちなさい!」という父の怒声。それと………車の音。





 「私は……間違っていたのかな」


 「何が? 別に何も間違ってないんじゃないの」


 「トモくんは淡々と言うからキツいなぁ……。本当は責められなきゃいけないと思うんだけど……私、誰にも怒られて無いね」


 「そりゃ、怒る人がいないからでしょ。親がこうしてるんだから、親戚くらいしか美月のことを怒れる人なんていないよ」


 親戚はこのことを医者に伝えられているはずだ。今、私の生活を支えてくれる人はいない。そして、私を助けようと思ってくれる人もいない。……これが因果応報というものだろう。直接怒られることはないけど、助けてもくれない。でも……誰かに怒鳴られたかった。


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