表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侵食  作者:
狂気
14/30

狂気3


 「どこ行くんですか、加那慧」


 「帰るに決まってんだろ。さっきから不愉快だ。……俺は、俺。他の誰でもないって言っただろ? 前の俺が誰であろうと、俺には関係ねえ。……北山美月は『死んだ』。それ以外の結果はねえんだよ。死んだ奴は生き返らない。それはどう足掻こうと、変わらない」


 「カナちゃん………。あは……、あははっ! アハハ、本気でそれ言ってるの? 生き返るんだよ、美月は」


 広田友樹は田代加那慧をギロリと睨みつける。その瞳には、狂気が映っていた。田代鼎は思わず立ち止まる。


 「生きている猫が消えれば、死んでいる猫が存在するのは当たり前のこと。どうしてそれが分からないのかな、カナちゃんは」


 「それは、箱の中を見ていなければの話だろ。……本当はお前だって、蓋を開いてしまえば残るのは真実だけだって、分かってるだろう?」


 「嘘だよ。そんなの、嘘に決まっているんです。蓋を開けば残るのは真実。ええ、確かにそうですとも。……でも、それだけじゃない。真実の中には、『虚実』が存在していたという『事実』があるんだ。だから、美月が死んでいるという真実の中には、生きているかもしれないという可能性、つまり『虚実』が存在していたという『事実』がある。……普通、真実には可能性が含まれない。なぜならそれは、確固たる事実しか含まれていないからだ。けれど、彼女が生きているかもしれないという虚実が存在する事実が、果たして可能性が含まれない真実として扱われるのだろうか」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ