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侵食  作者:
狂気
13/30

狂気2


 「それは………」


 「言えねえだろ、ざまーみろ。お前はな、最初っから分かってた当たり前なことを忘れてんだよ」


 田代加那慧は広田友樹が何を思っているのか瞳を見て分かった。普段と同じように見えるが、今の広田友樹は、なぜ話を信じてくれないのかと怒りが奥底で煮えたぎっている。


 「……じゃあ。今から君の記憶を思いださせてあげるよ」


 広田友樹は近くにあった店に入って行く。


 「ここは?」


 「行き着けの喫茶店。どうもカナちゃんは俺の話を信じていないみたいだから、今から俺の叔父さんに会ってもらうよ。叔父さんは能力者なんだ。どうせこうなると思ってたから、ここで待ってもらっていた」


 「能力者って……あれか? 人の心が分かるとか、そういう普通の人間にはできないことができる奴……」


 広田友樹は頷いた。そして、すたすたと奥の席へ歩いていく。


 「こんにちは、高尾さん」


 「やあ、トモくん。友達を連れてきたんだね? もしかして、その子が」


 「うん。前話してた子」


 「初めまして、こんにちは。……カナくんだね?」


 「え? あっ、はい……。田代加那慧です」


 これが友樹の叔父さん……。友樹と少し似ている気がする。……じゃなくて! なんだか話がおかしな方へ向かっている気がするぞ……。


 「トモくんに聞いていると思うけど、一応自己紹介しておくよ。僕は高尾文彦。心療内科の病院を経営している」


 「ちなみに、それは表向きのことだよ。確かに心療内科もしてるけど、本職は無罪人尋問官なんだ」


 「無罪人尋問官って言うのは、警察とは無関係の職業で、罪のない人間の真実を暴く人間のことだ。今から話すことは口外しないでくれよ」


 高尾は田代加那慧の全てを見透かすような瞳で彼を見据えた。


 「……この職業は、日本国憲法に違反している。なぜなら、無罪の人間のことを尋問するのはプライバシーの侵害であり、個人として尊重していないからだ」


 「嘘だ! そんな職業あるわけない。……たとえその職が本当にあったのだとしても、だ。なぜ警察は動かない?」


 「警察に職質されないのは、政府が警察に圧力をかけているから。それだけだよ」


 広田友樹がさらりと言う。


 「叔父さんは生まれつき能力者だから、この職に極秘にスカウトされたんだ。五歳のときにね」


 「まあ、そんな訳だ。トモくんが君を尋問することを依頼してきたからね、僕は仕事をこなさなくちゃならない。……さっそくだけど、場所を移そうか。ここじゃ都合が悪いだろう?」


 「何だよ、勝手に話を進めるな。本人の拒否権は無しなのかよ」


 田代加那慧は不機嫌そうに立ち上がった。


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