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末っ子の特権

王城が深い眠りに沈み始める頃。

夫婦の私室には、やわらかな灯りが残っていた。


寝台の上。

魔王と王妃は並んで腰掛け、眠る前の静かな時間を過ごしている。


それは――何年経っても変わらない、二人の習慣だった。


「三人とも……すっかり大きくなりましたね」


王妃がそう言って、微笑む。


「……時の流れは早いな」


魔王のその声には。

寂しさとも、誇らしさともつかない響きが混じっている。


と、そのとき。


――こん、こん。


控えめに扉が叩かれた。


二人が顔を見合わせる間もなく、扉の向こうから小さな声がする。


「……父上、母上」


扉を開けると、そこに立っていたのは第二王子だった。

寝間着姿で、胸には大きな枕を抱えている。


「今夜は……ご一緒しても、よろしいですか?」


少しだけ不安そうで、けれど期待を隠しきれない表情。


王妃は一瞬で表情を緩めた。


「もちろんですよ。寒かったの?」

「いえ……ただ、今日は……」


理由は最後まで言わずとも、十分だった。


王妃は自然に手を伸ばし、第二王子を招き入れる。

魔王は一瞬だけ眉を寄せたが――


「……仕方ない」


短くそう言って、身を引いた。


第二王子の顔が、ぱっと明るくなる。


「ありがとうございます、父上!」


寝台の中央に潜り込み、魔王と王妃の間に収まると、安心したように息をついた。


王妃はその小さな頭を撫で、

魔王は無言のまま寝具を整え直す。


しばらくして、静かな寝息が聞こえ始めた。


第二王子は二人に挟まれる形で、すでに眠っている。


「……たまになら」


魔王が、ぽつりと言った。


「川の字も、悪くない」


王妃はくすりと微笑み、灯りを落とす。


「はい。これも、末っ子の“特権”ですね」


闇の中、穏やかな気配が重なり合い――

王城の夜は、静かに更けていった。


――おまけ――


翌朝。


「兄上!昨夜も成功しました!」

「よし、さすがは末っ子だな」

「お父さまに知られたら……命がありませんわよ」


という兄妹三人のやり取りが、あったとかなかったとか。

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