悪夢
「はぁはぁはぁはぁ」
この道は何処だ、暗い、どれだけ走ってもずっと同じ景色だ、寒い、寂しい。
「あっ…あの、影…」
彼氏のアオイ…アオイの影………
「アオイ!アオイ!」
触れたい、隣に行きたい。
──アオイの影の隣に、もう1つ影があった
知っていたはずなのに
「アオ…イ…アオイ………」
俺は嫉妬することだってあった、何度も何度もあった。それでもアオイがしたい事を応援したかったから、他の人達との肉体関係も許した。
そのせいで。
「アオイ……置いてかないで…アオイ…アオイ…」
どれだけ手を伸ばしたとて、触れることも、とってもらえる事もない手。
アオイの影にすら触れられない。
アオイ…アオイ…
[…!!]
[…サ!]
…アオイの声?
……アオイと添い遂げたい思いのせいで、幻聴まで聞こえるようになっちまったな。
[…リサ!]
[アリサ!]
「あっ…?」
[やっと起きた…ずっとうなされてたよ…]
[大丈夫…?]
「……夢か」
「…アオイ…!!」
[わぁどうしたの、アリサから抱き着いてくるなんて]
[って泣いてる?!大丈夫?!どうしたの?!]
「アオイ……アオイぃ……………」
[いっぱい聞くから大丈夫、大丈夫だよ]
──次の日
「……………夢か」
俺と、アオイの二人で撮った写真。
「…飯食うか」
「……うん、美味い…少し……塩味が強いけど…」
「汗…凄いかいてたんだな…風呂入るか…」
「なぁ、アオイ……」
「…」
「 。」
───数日後
『アリサ〜』
『遊びに来たぞー…って、ポストから溢れるぐらい色々と…』
『ゲーム誘っても未読無視だし…』
『アリサ〜、大丈夫か〜?』
ピンポーン
『隣の人とかに聞いてみるか…友人の隣人さんってので仲良くさせてもらったこと多々あるし』
『すみませーん』
〔はーい〕
『アリサに会いに来たんですけど、全然出てこなくて…出掛けてるんですかね?』
〔……アリサ君〕
『…アリサに何かあったんですか?』
〔アリサ君…ね、彼氏が他の人と付き合っちゃって、彼氏が帰ってこなくなって精神的に…って噂だけど聞いたの〕
〔…そのまま、自殺したってのも聞いた〕
『…嘘、嘘ですよね』
〔……〕
『アリサ…なんで。馬鹿野郎…馬鹿……』
〔君が来た時に…って、渡されてたものがあるの、中は私も見てない。〕
『………』
〔…上がって、ゆっくりしていいよ〕
『……ありがとうございます』
〔…はい、これ〕
『……アリサ………』
「きっと、これ見てる頃には俺は死んだんだろう。もっと頼るべきだったかな。
お前は俺の、一番の友人だったしな。
ごめん、先に死んで。俺、もっとお前と遊びたかった。けど…もう耐えられない。
お前に吐き出せてたら少しでも楽になったんだろうな。ごめん。
…アオイは俺にとって、新しい光だったんだ、けど、もうその光が消えた。生きる気力も無かった。あの日から、飯が基本喉通らねぇんだ。どんな飯食っても不味く感じる。もう、こんなこと考え続けるのは嫌だった。ごめん。
長生きしろよ、しっかり飯食えよ、しっかり遊べよ、しっかり笑えよ。幸せになれよ。
お前は俺にとって一番の友人だったからな。
俺はきっと地獄だから死んだって会えねぇだろうけど、もし会えたら一緒に飯食ってくれよ。じゃあな。」
〔…なんて書いてあった?〕
『…なんで、もっと早く気付いてやれなかったんだろうなあ…』
〔…〕
『………』
あの日から夢を見る。
アリサが笑っている夢。
あぁ………終わらないで欲しいな…
唯一。起きてる間の悪夢から忘れられる時間なのだから。




