表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

私の名前は

再び目を開けたとき、そこにあった光景は、これまで見たことのないものだった。


まるで空へと伸びる大理石の柱。

以前、ヨーロッパのツアー旅行でしか見たことのない、巨大な窓。

窓の両脇には、真紅のキャンバスカーテンが掛けられている。


床は、一枚一枚の石英で敷き詰められ、現代の富豪が使うような……

なんて言えばいいのか、とにかく圧倒される威厳があった。


赤いカーペットは、俺の視線を空間の出口、非常に重厚に見える大扉へと導いている。

その両脇には、見知らぬ兄姉たちが立っていた。

アニメでしか見たことのない、メイド服やスーツを身にまとって。


——待て、違う……

兄姉……たち?

なんでそんなふうに思ったんだ?

彼らは、明らかに俺より年下なのに!


「え……?ここは……?」


なんとか口から二言、三言、日文を絞り出す。

しかし、気づけば口から出ていたのは、全く聞いたことのない言語だった。


俺はしばらく呆然とした。

その時、見知らぬようで、どこか懐かしい声が響いた。


「ライアン、早くお父様を迎えに行きなさい」


経験がある人は少ないかもしれないが、幼少期、記憶がない状態から一気に過去の積み重ねが流れ込む瞬間がある。


俺にとって、その瞬間がまさにそれだった。

自分のものではない、多くの記憶が突然、流れ込んできた。


モード城、大公、邸宅、母、父……


俺の意識は自然と、赤いカーペットが導く先の光の扉へと歩みを進めた。


その光の中で、粗野だが精悍な顔立ちの男が見えた。

安心感を与える広い肩。

黒く整えられた髪に、わずかに白髪が混ざり、

青い瞳には経験と老練さが宿っている。


「お父……?」


ちょっと待って!誤解しないでくれ!

俺はそんな軽々しく『お父さん』なんて呼ぶタイプじゃない!

ただ、脳が勝手に反応しただけだ!


光に近づくにつれ、初めてその男の背後に小さな影がいることに気づいた。

その子は、男の袖を掴むことなく、年齢に似つかわしくない気品を纏い、

幼くも優雅に、後ろに立っている。

幼稚園の大小姐が劇でプリンセスを演じるときのような雰囲気、とでも言えばいいだろうか。


目を離せない。

銀色の髪を持つ少女だ。


適切な距離まで近づくと、まるで会話トリガーのあるゲームのように、彼女とのやり取りが始まった。


男が口を開く。

「ライアン、パパが新しい遊び相手を連れてきたぞ。君と同じ10歳だ。君の努力を刺激するのに、これ以上ふさわしい子はいないだろう」


現代社会でこれを言ったら、炎上必至だろうな……。


「自己紹介しなさい」


男は少女の背中を軽く押す。


少女は意外なほど落ち着いた声で答えた。

「は……はじめまして」


「私の名前は、リノです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ