欠点こそが、長所であることは、ままある。
完璧は、魅力に欠ける。
たとえば、整形の話。
非常にかわいい女の子が、唯一のコンプレックスであった、団子っ鼻を改造する。「これで私も完璧!」と思いきや、実際は、そうは問屋が卸さない。
鼻筋が通ったせいで、これまでにはなかった、他のパーツとの違和感が生じる。すると、今度は顎を削ったり、無理なダイエットを始めたり、ゴールが見えなくなってくる。
彼女にとってのコンプレックスであった、団子っ鼻。それこそが、彼女の他のパーツを引き立ていた。また、その鼻こそが「チャームポイント」であったと、後から気付くが、時すでに遅し。
こういった事例は、何も容姿だけに限らない。
「バランス」に関わる事柄なら、それは、すべてにつきまとう悩みとなる。
一見、無駄と思われていた人物を排除することにより、緩衝材を失い、崩壊するチーム。「人生には何の役にも立たない」と思い、趣味をやめたことにより、失われる心のバランス。
「そこそこは上手くいっている」状態なら、あまり修正しない方が、良い。積極的には動かさず、成り行きや風向きに任せ、流されてみるのも、人生のひとつの在り様である。
空腹は、最高の調味料。
欠点もまた、美点を引き立てるスパイスとなりうる。