風鈴と風②
現代短歌なので、小難しいことは抜きにして。
感じたままを詠んでみました。
お気楽に味わってみてください。
穏やかに風にそよぐや風鈴の
澄んだ音色夕闇に染まり
夏を彩る風鈴の音色。
いつ聞いても気持ちよいものですが、夕方はより一層心に染みるような気がするのはなぜでしょう。
風鈴の起源は約2000年前の中国で、竹林に吊り下げて風の向きや音の鳴り方によって吉凶を占った「占風鐸」と呼ばれる青銅製の「風鐸」で、仏教の伝来とともに僧侶によって日本に持ち込まれたようです。
寺の仏堂の四隅や仏塔に吊るすようになり、ガランガランという鈍い音には厄除けの効果があって、この音が聞こえる範囲は災いが起こらないといわれていたそうな。平安時代の貴族の屋敷にも、同じような「風鐸」があったそうです。
青銅製ですからね、この頃は魔除け厄除け以外にも、権力の象徴みたいな役割もあったのでしょう。
「風鈴」として庶民にも広く行き渡ったのは、江戸時代中期以降。現在のようにガラス製の製品が流行し、風鈴の音色も軽やかになり、夏の風物詩として親しまれるようになりました。
一方夕闇・宵闇といえば、陽が沈んでから月が出るまでの間。空が夕焼けの残り香みたいな紫色から闇(黒)色に変わっていく時間帯です。残照とも呼ばれる薄い光が次第に闇に溶けていく逢魔が時を、魔除けの風鈴の澄んだ音色と共に過ごすのは安心感をもたらしてくれた。ごくごく自然なことだったのかもしれません。
蒸し暑い日本の夏に、チリーンと響く澄んだ音色が涼し風を運んでくれたのでしょう。(たとえ脳の錯覚だとしても!)
クーラーの風もいいですが、自然の風に当たりながら涼を楽しむ。
なんとも粋で風流なこと。
これって簡単なことだと思いますが、世知辛い今のご時世、心のゆとりがないと味わえない最高の贅沢なのかもしれませんね。
ご来訪、ありがとうございます。
風鈴、第2夜です。
都会では騒音公害にもなりかねない風鈴の音色。「風流」も時代の波に揉まれていますね。
(風鈴のうんちくに関しては、Wikipediaを参照にしています)