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勇者たちの使命  作者: 流離の風来坊(病欠中)
湖の畔で勇者アレスと少女が黄昏る物語

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第4話 謎の夢2

 ある日、国王からの使者が村に来て、魔王討伐のパーティにアレスが加わるというお触れを言い渡された模様で、『困ったなぁ~』と髪の毛を掻きながらも、平和のために自分は出陣するよ、近いうちに出立するからね、とミユに伝えた。


『ミユ、心配するな、直ぐに帰ってくるさ。お土産は期待するなよ』


『待ってるね、アレス先生が帰ってきたら、ボク、伝えたいことがあるんだ』


 いつの間にかアレスは姿を消しており、ミユは、またいつか会えると信じて何年も時が経った。ミユは今でも彼の帰宅を待ち続けているという。今度会えた時には告白して、村の祭りで手を繋いで歩いて、出店で買い食いするんだと夢を語っている。花火も一緒に見たかった。


 付与術師は『良いこと絶対にあるからな、頑張れよ』とミユに語り、聖女も『貴女の恋を全力で応援するわ』と彼女の恋心にエールを送っていた。


 ミユは『ありがとなりね』とウンウンと頷きながら、そして照れながら顔を赤くして(うつむ)いていた。


 聖剣がサトシの手にある以上、アレスが帰らぬ人だという事は分かっていた。魔王討伐は勇者サトシのパーティしか成し遂げていないからだ。


 アレスが最後にどうだったかは推測できるが、聖女も付与術師もミユに話すことが出来なかった。


「きっと、いつか、いい恋をすることが出来るさ」


「そうね、いい恋を見つけて欲しいわね。私たちのように」


 付与術師と聖女は互いに目を合わせてから、ミユへと優しく微笑んだ。




 付与術師と聖女は手を繋ぎながら湖を後にした。

 湖からは、ミユが腕が千切れそうな程、激しく手を振っていた。


「また遊びに来てねーーーっ、もう友達なりよーーーー」


 湖のミユはまだ子供。子供故に知らなかった。自分が、湖の精霊よりも遥かに強力な力を持っていることを。


 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・


「はっ!」


 湖の娘は目を覚まして起き上がった。


「不思議な夢を見たわ……なんだろう? どうしてボクが出てきたんだろう。それにアレス先生って……名前は知らない、まだ教えて貰ってないもん。でも、死んじゃうの? ウソ……。いえ、まさか先生が亡くなるなんて……。いや、ボクの喋り方も全然違うし、登場した女の子はボクじゃない。名前はミユって一緒だったけど、きっとボクじゃない。死んじゃうのも先生じゃない……」


「なんだか湖の水が干上がって、ボクが魔法で水ガメを満たす……そんな凄い魔法なんて知らないし、ボクの名前が湖の女神になってたし、なんだろう? ヨシタカさんと聖女ミズハさんって人も知らないけど、優しそうだった…‥。ヨシタカさんはミズハさんの付き人なのかしら。女神ハル様って……まさか……もし現実になるとしても絶対に先生を死なせたくないと思うし……」


 ガラッ


「やっぱり起きてたかい?」


「あ、先生、ごめんなさい。起こしちゃったね」


「どうした? なんだか、うなされていたみたいだけど」


「ううん、大丈夫。ちょっと嫌な夢を見た気がして」


「そうかい、朝まではまだ時間が随分あるよ、二度寝をすればいい、二度寝は気持ちいいぞ」


「……」


「水でも飲むかい? 持ってきてあげよう」


「うん、ありがとう。あの……先生と一緒に寝ていいですか?」


「甘えっ子の時期かな? いいよ」


「うん……」


 変な夢を見たが、その結果、一緒の布団に入れることになった。彼女は未だ子供であり、出生が不明なだけに見知らぬ親の愛情に飢えており、ただ単に嬉しかった。さっきまでは寂しさが上回っていた。


 夢の内容は気にせず、よくある想像の賜物として考えることにした。


「先生……」


「ん?」


「もっと近くに行ってもいいですか?」


「いいよ。おいで」


「ムフーっ」


「甘えん坊ちゃんだな……」


 彼女は眠りにつきながら、ただ、おじさんこと先生の名前が気になっていた。もしアレスという名前だったらどうしよう? 教えてもらいたいけど、知りたくない、複雑な気持ちだった。

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