表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/71

第7話 悪霊の街・エルソン2

 エルソンという街に辿り着いた。


 外見は5mもの壁が街を覆っていて随分と大きい。要塞都市といった印象だ。大きな門が正面にあったので、そのまま近寄り、門兵に身分証を見せた。兵は直立不動の敬礼をして説明を始める。


「この街は現在、夜の外出を控えるように領主さまから伝達されております。今までは外部からの侵略など攻撃は完全に防いでおりましたが、街の内部にある炭鉱から悪霊が出てくるようになった為、攻防戦が5か月間継続しております」


聖騎士ミキオ「5か月間も!?……うん、続けて。」


「領主さまは王都へ報告し、騎士団の援軍が来ましたが、1週間前に半壊、現在は押されております。敵は死霊系のゴーストと思われますが、出現するタイプは様々な亜種が存在しており、絞り込むのが難しく、弱点を突くという作戦はかなり厳しい状況です」


勇者サトシ「なるほど、浄化魔法の効果は?」


「はい。効果はございますが、殲滅するほどの決定打を放てる治癒師がおらず、難儀しております」


聖女ミズハ「分かりました。わたしの浄化魔法が期待できます。今夜にも対処いたします。皆さまは他に情報がありましたら、私たちにお知らせください」


門兵「イエス!マーム」


 ……ということで通過を許され、宿泊施設の場所を教えてもらって、夜までに更なる詳細な追加情報を提出するよう求めた。


 ミズハは話を聞いただけで容易に俊滅できると判断し、兎にも角にも暗くなるまではゆっくりしようという事になった。


 驚くことに、否、逞しい住民の人たちはお店は出しているし、普通に歩いている。悪霊は、夜以外は出てこないそうで、攻防戦の形勢が圧倒的に悪くならない限りは、愛着のあるこの街が必ず復活するからと、住み続ける覚悟だという。郷土愛が強いんだなと感心した。


 宿で軽装に着替えて、ぼくはミズハとユアイの3人でお店巡りをした。購入するのはペンダント。アクセサリー店を何件も見て、鳥の串や焼き魚、焼き肉の出店などに寄っては買い食いした。


 お祭りの時は特に美味しく感じるよね、さっき食べた串焼きも本当に美味しかった。


 あるアクセサリー店にて、輝くようなペンダントを見つけた。宝石が入っており、側がオリハルコンだった。ミズハとユアイに「どうかな?」と聞くと二人とも「すごく奇麗」、「お兄ちゃん、持ってるね」と喜んでいたので、二人のプレゼントとして購入した。


 店の親父さんが二人を見て「別嬪べっぴんさんを連れて、兄さん、羨ましいぞ」と僕に向かって言った。


 少し恥ずかしながら「幼馴染と妹ですよ」と返事をしたら「なぜかもっと羨ましい」と言われた。


 早速、ぼくは回復と基本スキル増強を付与して、彼女たちにペンダントをつけてあげた。


ヨシタカ「とても似合ってるよ」


ミズハ「相変わらずヨシタカ君の付与魔法はすごいね」


ユアイ「お兄ちゃん、ありがとー。大切にするね」


 二人とも、昔の感覚に戻っているのか、ニコニコで、手はつなぐは、腕は組むは、抱き着くは、普通のカップルのようなイチャイチャぶりだった。


 人類を代表するような重要人物とは、とうてい思えないや。


 それからも「ネーネー、あっち~」とか「温泉があるよ、入りたいよね、魔王退治の帰りに。」とか、ぼくは引きずられていくのであった。


ミズハ「ねぇ、私たちが育ったところの《《教会》》、ユアイちゃんやヨシタカ君が勇者パーティに入る女神様が加護を与えて下さった場所。全てが終わったら、教会に一緒に行こうよ」


ユアイ「《《教会》》、思い出す……、いきなり自分がVIP待遇になって衝撃的だったよ。お兄ちゃんと手を繋いで訪れたいな」


義孝「うん、約束するよ。あの教会行こうね」


★★★★★


ミズハ「ふふっ、楽しすぎて疲れちゃったわね」


ユアイ「わたしもー。今までお兄ちゃんと離れてたから、お兄ちゃん成分を補充しないとね」


ミズハ「ずるい!わたしも」


 と言いながら、また二人で引っ付いてくる。


ヨシタカ「二人とも甘えん坊さんだな~」


 笑って、ユアイの頭をなでる。ミズハの腰に手を回す。


 ミズハも凄く笑っていた。昔の夏祭りもこんな感じだったなぁと思い出す。またこのタイミングで、ミズハは少しだけ寂しい顔をした。


ヨシタカ「なぁミズハ、今一瞬だけど寂しい顔したよね?何か悩んでいることあるの?相談に乗るよ」


ミズハ「ううん、何でもないよ。疲れただけかな。気にしてくれて、ありがとう。わたし、あなたの事いつも好き。幸せだよ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ