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勇者たちの使命感:次なる異世界(校正版)  作者: 流離の風来坊
正統派の勇者たち

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第39話 新・旧勇者・激戦決着

 女神ハル(個人会話音声モード)

「マナにも先に伝えました通り、いざとなった時、この神官エレーネと協力してくださいね」


 渓流神マナ

「はい、我が女神様、仰せのままに」


 エレーネ

「女神様のご期待に添えれるよう全力を捧げます」


 そして女神ハルは旧勇者パーティに目を向けると微笑んだ。小声で話しかける。


 女神ハル

(おもて)を上げて下さい」


 サトシはじめ、ミズハを除く旧勇者パーティの全員が顔をあげた。ヨシタカの顔をじっと見つめる女神ハル。黄金の目には慈しみを持つ輝きを保っている。唇を少しだけ開け、語り掛ける。


 女神ハル

「ヨシくんたち、また会えましたね。この後で少しゆっくり話しましょう。貴方たちの無事を祈っています」


「「ハッ! ありがたき幸せにてございます」」


 女神の目にはうっすらと涙が滲んでいるように見えた。美しい顔にも関わらず、少し寂しげな雰囲気をまとっていた。その理由は、ヨシタカが見てしまった悪夢にあったかもしれない。


 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・


 ナレーター

「ご来場の皆さま、それではこれより我が国が誇る勇者パーティと大会選抜パーティの模擬戦を始めます」


 観客

「「ワーーーーっ、パチパチ」」


 ナレーター

「戦闘参加者の皆さまは闘技場の中央にお集まりください」


 現勇者が第一聖女、第二聖女、タンク担当戦士、魔法使いを従えてヨシタカたちを蔑むように見下してきた。


 現勇者

「フフ……お前ら、まぁまぁやるようだが、胸を貸してやるから直ぐに負けてくれるなよ。少しは観客の為にも楽しませてくれ」


 サトシ

「よろしく。胸を借りるつもりで頑張りますよ」


 ヨシタカは第二聖女ミズハの顔を見ていた。彼女は下を向き、こちらへは視線を向けてこなかった。悔しいとか悲しいとかの感情は、顔つきからは読め取れなかった。


 ヨシタカ

(何があったんだろう? 相談してくれてもいいのに。それにこれから始まる戦闘の目的は知っている筈だ。どうして彼らに手を貸すんだ?)


 観客

「第一聖女を除いて可愛い娘ばかりだな」

「おれはユアイちゃん推し」

「エレーネちゃんの金髪が奇麗」

「第二聖女のミズハ様は恋人いるのかなぁ?」

「渓流神のマナ様はおしとやかなロリ」

「神様に失礼なこと言うなよオマエ」

「やっぱ女神様だろ、あのふくよかな胸」

「ゆるふわ最高ーーーーっ」


 ナレーター

「観客と隔てる防御結界を張る宮廷魔法師の皆さまは、既定の集会場で結界の準備をしてください」


 宮廷魔法師

「防御結界、完了しました」


 ナレーター

「国王陛下、開始の合図をお願いいたします」


 国王

「模擬戦、開始っ!」


 ・・・・・・・・・・


 現勇者は開始の合図でニヤリと口をゆがめ、どこぞの雑魚が無謀な戦いを仕掛けてくるのかと余裕の佇まいをしていた。両手を腰に当て、聖剣の持ち手にすら触っていない。他の現勇者パーティ・メンバーも腕を組んだり、下を向きながら笑顔で「クックックッ」と笑いをこらえる仕草をしていた。


 ヨシタカは、エレーネに後方へ下がるように指示し、サトシとミキオを彼女の護衛に、渓流神マナを少し距離を保つようにさせ、そしてユアイを自分の隣に立たせ、目配せをした。


 ヨシタカ

「ユアイ、サトシたち仲間とミズハのみ防御結界を張れ」


 ユアイ

「ハイッ、張りました、お兄ちゃん!」


 ヨシタカ

「よしっ、いくぞっ! 拡散っ! エクスプロージョン!!」


 現勇者

「なにっ」


 第一聖女

「こ、こいつ……大技をいきなり……」

 タンク担当戦士

「あーヤバッ」

 魔法使い

「ほぇ?」


 第二聖女ミズハ

「……ヨシタカくん、ありがとう、さようなら」パタッ


 どどどーーーんん、どどーーーーん、どーーーん、ズズズーーーーーンンン


 観客

「ええーーーーーっ」

「キャァーーーー」

「うわーーーーっ」

「いきなりかよー」

「おい勇者たち吹っ飛んだぞ」

「マジか」


 ナレーター

「えっ、えっっ、えええっっーーー」


 摂政

「クッ……」

 国王

「うーむ、天晴じゃ」


 ナレーター

「勇者パーティは全員気絶! 誰も立ち上がってきません。こんな事があって良いのでしょうか? 勝者は大会選抜パーティです」


 女神ハル

「えっ、えっ、えっ、ヨシくん……決着ついちゃったの? ほぇ」

 サトシ&ミキオ

「予定通りか……出番なかったな」

 ユアイ

「お兄ちゃん、ミズハねえちゃんは気絶しているけど無事よ。やっぱり拡散よねっ」

 エレーネ

「な、なにも起きずに終わってしまいましたわ……」

 渓流神マナ

「ああ……ヨシタカさま……素敵ですぅ」

 ユキシ

「わたし出番なしですが……」


 ヨシタカの予知夢では先制攻撃がファイヤーボールだったところ、そのあとで黒い空間を作られ苦戦したので、それならば最初から最大火力で攻撃するという案で、拡散エクスプロージョンを放つことに決まった。案の定、その一発を相手側は誰も防ぐことが出来なかった為、簡単に戦果が決した。


 ナレーター

「繰り返します! 勝者、大会選抜パーティ、いにしえの伝説魔法・拡散エクスプロージョンを使用した付与術師ヨシタカの第一弾の魔法にて試合終了です!」


 観客

「「おおーーーっ」」

「いにしえの魔法が使えるなんてスゲェなぁアイツ」

「名前も英雄ヨシタカ様と同じだし、転生されたとか言ったりして(笑」

「バカだな、物語と違って現実には転生なんて起きねーよ」


 ナレーター

「負傷した勇者パーティは全員気絶中です。救護班、倒れた勇者様、聖女様たちに回復魔法を、勝利の選抜パーティの皆さまは、インタビューブースへお越しください」


 観客

「ヒーローインタビューってやるんだな」

「でも、一人以外、何もしてないじゃん」

「しかし勇者パーティが一発で負けるだなんて……我が国の面目丸つぶれ」

「付与術師がどうして、あんなスゲェ魔法をぶっ放せるんだ?」


 ナレーター

「あまりにも早く模擬戦が終了してしまいましたが、この後は予定が組まれておりません。少しだけ会場に留まって頂き、続報をお待ちくださいませ」


 その後、何の予備もなかった大会イベントは、サブイベントを急遽用意できるはずもなく、あっという間に終わってしまった。


 国の勇者パーティお披露目として観衆に印象として残ったのは、大会優勝者の失恋ヨシタカだけであり、また、人類の憧れであった女神様が実際に見れた人々が再度教会に足を運ぶようになり、寄付金が増大し運営陣がホクホクだったという。


 そして、女神御一行の美女たちが、内臓が弱っている病人や腰痛や足腰の弱い方々に向かって癒し系魔法を振りまいて、多くの観衆に満足感を与え、大会自体は大成功を収めるのであった。

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