第18話 冒険者ギルド
大きな冒険者ギルドに着いた。エルソン支部だ。
冒険者ギルドに入ると正面にカウンターがあり、広いロビーの横には食堂兼酒場が併設されていた。
ぼく「冒険者に登録したいのですが」
受付嬢「はい、お承ります」
ぼく「ありがとうございます」
受付嬢「ではまずこの用紙にお名前、年齢、住所、連絡先、所持スキル、得意分野、社会的地位をお書きください。その後、自動判定装置で魔力と犯罪歴を診ます」
ぼくは以下を記入した。
ヨシタカ18歳
出身:街の名前
住所:泊ってる宿の名前
スキル:付与術
得意分野:ポーター
社会的地位:男爵
受付嬢「あら、男爵さまでしたのね、これは失礼しました」
ぼく「いえ棚から牡丹餅で男爵を頂いただけで、形式だけです」
受付嬢「ご高配ありがとうございます。ではこちらの水晶球に触れて下さい」
ぼく「はい」
受付嬢「犯罪歴無し、男爵位の事実認定。はい。これで登録が終わりました。これで冒険者として仕事を請けることが出来ます。スタートのクラスはF級です、S級・A級目指して頑張ってください。あと訓練のご案内、禁止事項などの説明をいたします」
そういいながら彼女はカードを水晶にかざして情報を読み取り、終わりましたとカードをくれた。
【冒険者ヨシタカ、男爵、冒険者階級F】スチィール製
説明は受付嬢がしてくれるのではなく、二階にある講義室に予め何人か集められてから実施されるとのこと。
ぼく「ありがとうございました」
受付嬢「どういたしまして男爵様。これから頑張ってくださいね」
ぼく「はい!」
フレンドリーな女性だった。ついミズハやユアイがいないという寂しさを覚え、受付嬢の笑顔に彼女らを重ねて妄想した。寂しさが逆に加速してしまった。
説明会が始まるまで、ロビーにあるテーブル席に座ってコーヒーを頼んで飲んで待つ。その間、ギルド内の観察をした。
近くのテーブル席から話し声が聞こえてくる。知った単語が出てきた。それで聞き耳を立ててみる。女性や男性の混成パーティだ。
「勇者パーティ、私だったら聖騎士ミキオ様が好いな」
「私も。ミキオ様は賢く優しそうで剣の腕前が飛び抜けてるし」
「俺は勇者サトシ様だな。万能で強くてイケメン。捨てがたい」
「僕はユアイ様。魔法の万能戦士なのに、あの庇護したくなる可愛さ。たまりません」
「可愛くて美人といったら聖女ミズハ様、オンリーワンの風格よね。憧れるわ~」
「聖付与師のヨシタカ様は、特に優しそうでスキ」
おや?ぼくの名前まで出たぞ。嬉しいな。
最も嬉しいのは、ぼくたち勇者御一行が人類の夢であった魔王討伐を実現し、過去に勇者が作った悪いイメージから脱却できたことだった。今は普通に世間から尊敬され憧れられている。
昔に仕出かした勇者の魅了による悪いNTR噂が、今勇者に被って来ていたのを払拭できたこと、どんなに悪口を言われてもくじけず、命を賭して魔王を討伐したことが世間に知れ渡り、ぼくも鼻が高い、パーティメンバーとして胸を張れる。
あらゆる事が上手く進んだ。でも肝心の彼らがいない。
寂しい。