第12話 魔王戦の直前
ぼくたちは朝早くにジャッキ村を出発し、賄のメイドさんや騎士たちを村に残し、魔王城への地下トンネルを突き進んだ。
魔族の抵抗は蹴散らし、順調に魔王城そばの最後のセーフティゾーンまで辿り着いた。ここまで来たらひと安心。体力の回復などをして休憩をはさみ、最後のMTGを行った。
サトシ
「とうとう魔王城まで無事に辿り着いた。予想よりも順調で、何の不安もなく作戦をこなしている。これほど順調なのは、ぼくたちの友情、絆、各々の努力であったと思う。みんな、つたないリーダーだったけど協力ありがとう」
「「おう!」」
「「はいっ」」
サトシ
「これからパーティの一人であるヨシタカが抜ける。彼が地上に行く前に、最後に何か話しておくことはないか?」
ヨシタカ
「?」
ミズハ
「はい。あ、あのね、ヨシタカ君。一緒に加護の授かった教会へ行くという約束、覚えてるかな? ユアイちゃんと一緒で三人だから、二人きりじゃないから、行こうね」
ヨシタカ
「うん、約束だもんね」
ミズハ
「あ、ありがとう、ありがとうね」
泣きそうな顔をしている。どうしたんだろう? 魔王を倒したら直ぐに会えるのに。
ユアイ
「次はわたし。お兄ちゃん、今までありがとう。……うん。あの、その、わたし、ミキオ君と結婚するよ」
ヨシタカ
「な、なんだってぇーー!!!」
ミキオ
「すまん! ヨシタカ。おれさ、ユアイちゃんに一目惚れしてたんだわ、言わなくて、すまなかった。今言ったから、許してな」
ヨシタカ
「えぇ~~、そんな、おめでたい事じゃないか。もっと早く言ってくれよ。ユアイもさ。お祝い品を探さなきゃな。忙しくなるぞ」
ユアイ
「う、うん、……ありがと、お兄ちゃん」
どうしたユアイ、うれし泣きか? 決戦前にそんな精神状態になるなんて、修行が足りぬよ。
ヨシタカ
「なんだか全員、シアワセ光線を出しまくってる、ぼくだけ不幸みたいじゃないか。そんな顔しないでよ。ぼくだって、恋人の一人や二人、すぐに作っちゃうからね」
ミズハ
「恋人は同時に二人作っちゃダメだよ、ヨシタカ君」
★★★★★
サトシ
「さてヨシタカ、今朝の話なんだが、ジャッキ村の精鋭を借りて、地上の警戒をしてもらっているんだ。敵の俊滅も兼ねて。そのおかげで、ヨシタカが地上で待っている必要がなくなった。いち早く先に王都へ帰って欲しい。僕らはなるべく早く追いかけるから、先に宿でも取って待っててくれ」
ヨシタカ
「えっ? それじゃ魔王討伐の結果をぼくが確認する前に、王都に行かなきゃならないの?」
サトシ
「ここまで来たら、女神様の啓示と結果が変わらないものなんだ。啓示は的中率100%だからね。王都で遠慮なく羽をのばしてくれ。女遊びはするなよ」
ヨシタカ
「ミキオみたいなこと言わないでくれ」
ミキオ
「まぁ話し込むのは何だから俺は黙っておく」
サトシ
「それじゃ、国王へ僕たちの勝利メッセージを無事に送り届けてくれよ。」
ヨシタカ
「うん、了解したよ!」
サトシ
「みんなに強化を付与してくれ」
ヨシタカ
「ぼくの最大級を与えるよ。みんな無敵になるからね。今、付与かけたよ」
全員
「「ありがとう」」
サトシ
「それじゃ、地上で、王都で会おうな。地上へ行ってこい、転送!」
★★★★★
サトシ
「よし、作戦通り、乗り込むぞ!」
「「はいっ」」
「おう!」