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勇者たちの使命感:次なる異世界(校正版)  作者: 流離の風来坊
正統派の勇者たち

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第0話 異世界到着

 ふと気づくと(ヨシタカ)は草原の中にある道に立っていた。


 昼間だ。気温は暑くもなく寒くもない、春か秋か、どちらかだな。道は真っ直ぐに続いている。振り向けば後ろにも長く続いていた。草原から切り取られた道には馬車のわだちが残っており、食料や生活用品を運ぶ馬車が行きかっていることを示していた。


 空を見ると、太陽の傍には月が三つあった。月三つ……これは前世で過ごした異世界だ。また戻ってきたんだな。確か女神様(ハルちゃん)は俺が老衰で死んでから二百年ほど経っていると言っていた。常識が通じないかもしれないから少し学んでから色々と活動するといいよと仰っていた。


 記憶がどんどんと蘇ってきた。白い部屋で女神様が話していた事、妹の由愛(ユアイ)や恋人の瑞葉(ミズハ)(サトシ)幹夫(ミキオ)の行先。由愛は俺の故郷の傍、瑞葉とハルちゃんは教会本部、聡は聖剣を賜るために王宮、幹夫は騎士団詰所に飛ばされるんだった。しばらくは彼女らに会えないな。俺も故郷の傍に転送すると言われた筈。二~三日か、少し歩けば着くのだろう。ユアイが魔法をぶっぱなすと災害になるから急ごう。


 俺が着ている服装を改めて見た。帽子は被っていないが冒険者の格好だ。十八歳の頃から愛用していた懐かしい服と同じだった。気が利くな女神様。いや、ここは異世界、全知全能の女神様に対してちゃんとした言葉でなければ失礼に当たるな。ふふふ……女神様か。学食でしゃべっていたり、遊園地で大観覧車に乗ったり、俺って、ものすごい事を仕出かしていた。記憶がなかったとはいえ、失礼過ぎだろう。


 俺の前世の異世界では、ハルちゃんには、かなりお世話になりっぱなしだった。魔王戦で亡くなった皆を蘇生させるリザレクションをかけて貰うかどうか悩み相談をした。世界で唯一勇者や聖女たちに特別な力を与えることができ、いや寧ろ何でもできる奇蹟を行う女神、それが同級生で恋人だったなんて。


 ただ二股になってしまって瑞葉が泣いて怒っていたな。妹にも「瑞葉ねえちゃんが泣くのは当然、私だって……お兄ちゃんのばかっ!」って怒られてさ。あれ? 俺ってクズ男じゃないか……最低。余計な記憶は蘇らなくていいのだが、思い起こせば勇者パーティで女神様の身内だったわけだけど、ちょっとハメを外しすぎた。今度お会いしたらお詫びしないといけないな。


 さて、最初に我に返った時に向いていた方向へ歩いてみるか。言語は直ぐに思い出せると言われてたな。そして左の腰には片手剣がある。昔使っていた愛剣と同じ片手剣、手に馴染んだものが使いやすい。そしてズボンのポケットに手を入れて小銭を確認する。ジャラジャラと少ない音がする。「フッ、しけてやがるぜ……」西部劇の主人公のような意味不明なセリフを吐き、俺は歩き始めた。少し性格がやんちゃになっているようだと自覚する、ひょっとして敬語すらできないほど頭が悪くなっているのか?


 確か前世で死ぬときは男爵だったっけ? 証明できる短剣はリュックに入ってるかな? おや? 侯爵の家紋になった身分を証明する短剣が出てきたぞ。俺って侯爵まで陞爵(しょうしゃく)していたんだ。今の時代でも通用するかな? 貴族を名乗る詐称は即刻死刑か流刑だしな。くわばらくわばら。


 ついでにリュックの中身を探る。何が用意されているのか。このリュックはマジックバックだ。SS級冒険者カード、食料、金貨、テントや寝袋など簡易宿泊グッズが入っていた。金貨は結構ある……。ポケットの小銭はチップみたいに門兵に直ぐに渡せるように入れてあるんだな。そういえば異世界では財布という形では盗難防止で余り使ったことがなかった。瑞葉と由愛とお揃いの札入れや小銭入れを使ってたなぁ。それはリュックにも入ってないか、残念。飲料水も美味しい水というペットボトルがいっぱい入っていた。早速開けて口をつける。美味い。


 こっちの世界に来たんだ、呼び方をユアイ、ミズハ、ミキオ、サトシ、女神様と呼ぶように切り替えないと。冒険者ギルドへ行って今のカードが使えるかどうか確認し必要あらば更新もしなくちゃいけない。貯金は残ってるかな。カードが使えなければ改めて冒険者にならないといけない。ギルドへ行ったらF級の講習面倒だし結構考えることが多い。魔法の練習もしなきゃ。腕は錆びついているだろうし。そうやって思考している間で割と道が進んだ気がする。どんだけ思索にふけってるんだ俺。

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