恐怖の邂逅2
私は急いで出掛ける用意をして、マスタールームを飛び出した。
何事かと急いで肩に乗ってくるスライムに、出掛ける趣旨を伝え、お留守番してもらう。
言葉を発するわけでも、表情があるわけでもないが、寂しそうな顔でお見送り……もう、なんって可愛いの!
私は引きこもりってワケじゃないんだけど。
お金の両替だったり、食糧の買い出し以外では街にいくことは殆どない。
単純にあの場所が居心地が良いから、ずっとあそこにいたいって思うだけなんだけどね。
ダンジョンを出て、扉の方を向き【閉門】の詠唱を始めたときだった。
背後から草木を掻き分ける音が聞こえる。
私はそれに不吉なものを感じながらも振り返った。
そこには青い鎧を纏った長身の男。
顔はひきつり、必死な表情でなにかを訴えかけているようだった。
その理由を問う前に、彼に背負われたもう一人の男性に目を奪われる。顔に生気はなかったが、呻き声だけが彼がかろうじて生きている事を示していた。
「ああ、どうしよう。早くこっちへ!」
私は閉じかけた扉の方へ彼らを招く。
ダンジョンに入りさえすれば、死ぬ前にダンジョンが取り込み、多少回復される。最悪の事態は避けれるはず。
彼等はヨタヨタとダンジョンの門をくぐった。
そこで青い鎧の男は体力の限界を迎えたかのように、前のめりで手を付いた。
同時に背中に背負っていた、ローブを纏った魔法使い風の男が、彼の背中からずるりと滑り落ち、仰向けに倒れた。
「どうしてこんな……」
ぎょっとした私が見たのは、ローブの半分を覆った大量の血。
彼の短い息使いに、この男性がかなり危険な状態であることを悟った私は、血の気が引くような感覚を覚えて後ずさった。
そんな私の背中に、何かが当たる。
同時に私の頭の上から、声が降ってきた。