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意地悪眼鏡3

「どうした!」

 剣士が振り向くと、魔法使いの女の子が全身をモゾモゾさせて慌てている。


「スライムが! ローブの内側に入って!」

 魔法使いの男が状況を説明しながらも、そのローブを剥ぎ取ることも出来ずに狼狽えている。

 男女混合のパーティの場合、お互いの体にむやみに触れていては、その関係性がうまく行かないことが多いため、躊躇したのだろう。

 特にこの男性は気が弱そうで、女性に対して免疫があるようにも見えない。


「クソッ! 厄介な!」

 慌てて引き返した剣士が、ローブの下のスライムの位置を特定し、その握力で握りつぶした。


「うわぁ……気持ち悪い」

 モゾモゾという感覚がなくなったお陰で、女魔法使いはホッとしたようだが。

 次にその目がとらえたのは、ユーリカの鎧の上を這う別のスライムが、今まさに腰の継ぎ目からなかに入ろうとする瞬間だった。


「くそっ! 私にまで!」

 女剣士の鎧はフルプレートで、その脱着にはわりと時間が必要だ。

 体をくねらせてもスライムはその隙間を蠢くばかりで、潰すことも追い出すことも出来ない。


 と、その時。

 プチっと何かが切れる音がした。

 背中側の鉄の板を止めている皮が切れたのだ。

 続いて表のお腹側のベルトも切れる。

 スライムの腐食粘液で溶かされたのだろう。


「くそっ、こいつ!」

 胴回りプレートが外れたことで、その姿が露になったスライムに、女魔法使いが隠し持っていた短剣が刺さり、ようやくその動きが止まった。


「やられたな」

 女剣士はなんとか引っ掛かっているプレートを剥ぎ取ると、地面に転がす。


「スライムごときと侮った」


 本来スライムという生き物は、取りつくと酸を出しながら纏わりついて、皮膚などの柔らかい部分であれば火傷のような痛みを受けてしまう。

 しかし金属のような固いものは溶かせないし。

 それ以前に動きが遅く、近寄る前に踏みつけるか叩くかすれば子供でも倒せる魔物だ。


「地面に開いている穴、これは足を取るものではなく、スライムの隠れ場所だったのか!」


 そしてこっそり足元から取りついて、鎧の中に入ったというわけだ。

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