恐怖の邂逅1
今回のパーティーは三人組で、まだまだひよっこだったのか、クリアは出来なかった。
4階層……つまり、さっき調整したゴブリンとコボルトのエリアで、多勢に無勢で削りきったみたいで安心した。
入ったばかりのコボルトは、状況がつかめず手を出しあぐねいていたけど、先輩ゴブリンに急かされて突進。
なんとかコボ次郎が手柄を取った感じ。
これから慣れてくれば彼等も大事な戦力になるはずって期待してる。
ちなみに5階層のモンスターはまだいないので。実際のところは4階で終わってしまっているような、初心者向けのダンジョンだったりする。
「5階層のモンスター……何にしようかな」
ストレンジャーが帰ったあと、操作机に備えてある椅子の背もたれに、体を預けて天井を見上げる。
毒の対策がないストレンジャーに毒をあてがったり、重戦士パーティーに沼地をあてがったり。
嫌らしいことはたくさん思い浮かぶのだけど、それを実行するためにも、お金とモンスターが必要になるわけで。
うーんうーんと唸る私を、スラっちが何事かと見上げているのが可愛らしい。
天板をいじりながらふと壁に視線を送ると、一つのメモ書きが目に入った。
それを見たとたん、私は青くなって飛び上がる。
「やばっ、何日だっけ!? うわ、今日じゃん!」
商人にお願いしていた荷物を取りに行く日取りをすっかり忘れていた事に気づいた。
特に今回は特注の品物で、今日受け取り損ねちゃうと、片道一週間くらいかけて、彼の工房を訪ねなきゃいけなくなっちゃう!
「ヤバイヤバイ! いそげー!!」
全裸であわてふためく私を、スラっちがさらに不思議そうに眺めていた。