意地悪眼鏡1
半べそをかくバジリスクを無視して、紅茶を楽しむティアマット。
何故か優雅な仕草が板についていて、紅茶が似合うのがちょっといけすかないっていうか。
とはいえ、せっかくみんな揃ってる訳だし、また今後の事を相談してみようかな。
なんて思って居るところに、カップをおいたティアマットと目が合った。
「ちょうど良い。今後のダンジョン経営について少し提案があるのですが」
「えっ? 私もちょうどそれを相談しようとしてたんだけど」
なんだか心の中を読まれたみたいで気持ちが悪いけど、渡りに船って事なのかもしれない。
「今の戦力差だと、3階までがほとんど機能してないんだよね」
いままでは安い賃金で利用できる、初心者冒険者のためのダンジョンって感じだったんだけど、これからは中級以上の冒険者用になってくると思うんだ。
それなのに普通に1階はスライムがうようよしてるだけとか、草刈り程度の攻撃で全滅しちゃう。
いや、歩くついでに踏まれて死んじゃう!
彼らを甦らせるのもタダじゃないんだもん。
塵も積もればで結構な出費になるはず。
「私もそれが気になって居たんですよ」
私の考えなど全てお見通しみたいな顔してティアマットが頷く。
「私としては1階と2階をくっつけて、食人植物とスライムの混合部屋にして、全3階にしようかなと思ってるんだよね」
「ふむ……その心は?」
なんかティアマットが禅問答みたいに上から目線なの気になるんですけど。
私も少しは勉強してるんだから。
ダンジョンマスターの経験値を舐めないでよね。
「食人植物は火属性以外にはわりと強いから足止めにはなるし、相手の力量も計れると思うんだよね。それに大きいから影にスライムが隠れたりできるし。絶対勝てない相手だったらやり過ごせるでしょ?」
無駄な争いは避けて、極力エンの消費を避けたいじゃない。
そんな私の考えを、鼻で笑うティアマット。
「ハッ。そんなものは何の戦略でもありませんね」
「ムカつく。じゃぁティアだったらどーすんのさ!」
ティアマットは、紅茶のカップをソーサーに戻すと、組んだ足に手を掛けて、その考えを披露し始めるのだった──。




