遺跡探索をしよう5
とりあえず宝石類は持って帰って、あとは放置することに。
「で、肝心の取ってきて欲しい箱ってのはどこだ?」
思い出したようにスレインさんがキョロキョロ見渡すが、事前に伝えられたような箱は見当たらない。
富士子さんにとって、この宝石なんかよりもっと価値のあるもの……?
だったらどこに置くのかな。
うーんと頭を捻りながら宝物庫から出てみる。
私ならどうするだろう?
自然と寝室に足が向いていた。
考えてみれば私の部屋も地下に自分で作ったものだった。
そしてふかふかの絨毯で覆った自分が一番居心地の良い場所に、自分が好きなものを置いてるなぁって。
そしてベッドサイドに小さな棚があるのを見つけた。
私は確信に近い気持ちでそれを開ける。
ボロボロにはなっていたが、小さな宝石箱のようなものが出てきた。
大きさは15cmくらい、金縁の装飾に、以前は赤い布が貼られていた様子。
時々屋台で売ってるおみやげ物みたいな、あまり高くないものに見えた。
「それか?」
スレインさんが肩越しに声をかけてくる。
「うん、間違いないと思う」
その戸棚に他のものが無いのを確認してから閉めると、私はそれを丁寧に両手で抱え込む。
「中は確かめないのか?」
「私も中身を聞いていないんですよね、それに開けないでって言われてて……」
「そう言われると余計見たくなるじゃん」
スレインさんがワキワキと指を動かしながら近づいてくるのを、背を向けてかわす。
すぐこーやって子供をからかうような行動するの、私苦手なんだよね!
「ちょっと、なにやってんのよ」
ローナさんがスレインさんの頭を杖で小突く。
冗談でやってるのはわかってるんだけど、スレインさんって時々本気の時あるもん。
まぁほとんどはこーいう突っ込み待ちだってのはわかってるけどさ。
ようやくお目当てのものが見付かったので、この遺跡を後にすることにした。
なんだか後ろ髪を引かれるような気になって、最後にちょっと振り返る。
石を削り出して作られたお部屋は、そこに生活が垣間見えていて、今にも隣の部屋から富士子さんが出てきて手を振ってくれそう。
そんな富士子さんが500年も住んでいた場所なのに。
知らないギルドの人に全部持っていかれちゃうってのが、なんとなく寂しさを感じたワケで。




