遺跡探索をしよう4
しばらく洞窟を進むと、ラルフさんが予想した通り広くなっている場所に出てきた。
確かに自然に大きく開けている場所だったけど、壁はその上で広げられた跡がある。
「結構住み心地良さそうじゃん」
スレインが躊躇無く中に入っちゃったけど、これといって罠なんかは残ってなさそう。
「ここはエントランスっぽい場所みたいだね」
確かに生活用品などは無くて、スケルトンが持つ剣や、かつての罠らしきものが見える程度。
「ここでストレンジャーを盛大にお出迎えしていたって事か」
それもここの主である富士子さんがいない今では、入り口のほうまで勝手に出歩き、音を頼りに集まってくる程度の知能しか持ち合わせていなかったんだろうね。
すでにここに待機してたスケルトンはさっきスレインさんが倒しちゃったワケで。
「まだ奥がありそうだし、行ってみようよ」
ラルフさんの意見に、素直にみんなが通路を進む。
奥は思ったより深かったけど、確かに殆どのスケルトンがバラバラにされていた。
200mくらい歩いたところで、広い空間に到着したんだけど。
そこで私たちは口を空けたまま立ち尽くした。
「なんじゃこりゃ」
スレインさんが発した言葉に、皆が共感。
だってそこにあったのは石壁の一軒家の内装そのものだったから。
玄関らしきものはなかったんだけど、四角く掘られた入り口を進むと、まず目の前にテーブルと椅子が備え付けられていた。
奥には石で作られたキッチンもある。
そこまで歩いていったローナさんが蛇口を捻る。
「水まで出るのね!」
水圧はそこまで強くないところを見ると、雨水か地下水を貯めているのかもしれない。
「ここは、人が住んでたのか?」
驚く三人はあちこちを物色し感嘆の声を上げていたんだけど、私は富士子さんが、言っていたこと思い出していた。
『同じ生活続けてないと、人間だった時の事忘れちゃいそうで』
そう言った富士子さんの顔は悲しそうで……
いや表情とかは無いんだけど。
そんな雰囲気を醸し出してたってことね。
「あ、宝物庫あったわよ」
キッチンの奥には風呂場とトイレと、ベッドまであった。
そこから横に掘り進められた場所に、色々な物をしまっておく、倉庫のようなものがあった。
「こりゃぁ宝物庫っていうのか?」
砂埃を被った雑多な何かが積み上げられている。
それは私達4人程度の知識では何に使うものかもわからないし、それがどんな価値を持つものなのかもわからない。
しかし、いくつかの宝石や貴金属も見つけることが出来た。
「なんだこりゃ、ゴールドか?」
「そうみたいだね、なにに使うんだろう?」
キラキラ綺麗だけどやたらと重い金属が、長い台形の形で重ねて置いてある。
そういえば錬銀術師のホアキンさんが言ってたなぁ。
『あんなすぐに曲がるし重い金属に価値はない!』って。
じゃあたぶんそんなに価値のない物なんだろうね。
確かに武器や防具にするには向かないし。
一部の地域では薄く伸ばして装飾に使うって聞くけど、壁とか天井がキンキラキンなのって落ち着かないよね。
正直そんなに興味はない。
うちでもドアストッパーか、漬け物石くらいには使えるのかな?
「宝石だったら持って帰っても良いんじゃない?」
ローナさんが見つけてきた宝石を広げた。
赤、青、黄色、透き通ったものまで様々。
しかも、どうやって切ったのか綺麗にスパッと切られている。
「これは価値があるわよ、遺跡か一部のドワーフからしか入手できない貴重なものだから!」
確かに、今でも宝石の取引は盛んではあるが、こんなにピカピカと光る装飾は初めて見る。
宝石には精霊が宿ることができるために、守護の保管場所にしたり、契約していない守護に入って貰う事もあるから結構持ってる人は多いんだけど。
大体はこんなに綺麗に研磨して飾るんじゃなくて、ルースって呼ばれる掘り出したままの不定形なもので所持してるかな。
「これだったら持って帰ってもギルドは文句言わないんじゃない?」
いつになくテンションの高いローナさん。
確かに女の子はこういうキラキラしたもの見るのって好きだよね。
でもそれをスレインさんがたしなめる。
「俺達は泥棒じゃねぇ、雇い主の意向を無視して勝手なことしちゃダメだ」
忘れそうになるけど、リーダーなんだよなぁって思うくらいピシッと場を締める。
「ごめん、ローナさん。それは富士子さんの物だから、一回彼女に見せてそれから許可が貰えたらってことで」
あんまりしゅんってなってたから、取り敢えず希望は捨てなくていいよって事にした。
本当は全部要らないって言われてるから、ここであげても良いんだけど。結構高価なはずなので、ちゃんと鑑定してからにしたいんだよね。




