遺跡探索しよう2
現地に到着したのはちょっと暗くなってきた頃。
洞窟の入り口は崖の中腹らしいけど、ちょうど夕日を背にしてそびえていて、その穴を見つけるのは難しそう。
魔法で光をたいて探してもよかったけど、他のストレンジャーに不振がられるのは避けたいという話になり、ここで野宿をすることになった。
それが功を奏したのは目が覚めてからわかった。
朝日が昨日の夕日とは反対から上がったことで、崖がしっかりと照らされていたんだよ。
それでもすぐには入り口を見つけることが出来なかった。
ラルフがスカウト能力で色々探してみてくれた結果、崖下の草地に強く踏まれた跡と、小さな血痕を見つけてくれた。
たぶんエンドライン兄弟が、崖の穴から飛び降りた時の跡なんじゃないかな。
というわけでそのまま上のほうを探していくと、人が横向きにギリギリ通れるくらいの裂け目を見付ける事が出来た。
しかも、前方に張り出した他の岩に隠れている天然のカモフラージュ。
「これはわかんないですね」
私はもっと洞窟とか門とかそういうものかと思ってたけど。
分かりにくいから今まで残っててくれたんだよねと思えば仕方ないような気もする。
「よし、じゃぁ入るぞ」
ラルフさん以外は問題なく通れたんだけど、フルプレートメイルは無理。仕方なく胴の部分の鎧を前後で外し、脱いでから入ることになった。
たぶん大丈夫。殆ど敵は居ないって言ってたからね。
「────で、敵が居ないって誰が言ってたんだっけか?」
息を荒らげながらスレインさんが私に詰め寄る。
赤みがかった三白眼で直視されると、睨まれてるみたいでちょっと怖いよ。
正座して涙目の私の周りには、十数体ぶんのスケルトンの骨が散らばっていた。
「すいましぇん」
私もあの人たちの言うことを鵜呑みにして言っちゃったけど。
元々何体いて、それがどれだけ減ったかまで聞いてはいなかった訳で。
「ていうかこんな狭い洞窟で、あんなにスケルトン居るなんて思わないわよ」
私とスレインさんの間に、ローナさんの束ねた水色の髪が割り込んでくる。
味方になってくれるけど、情報不足は私のせいなのは間違いないもんね。
「すいましぇん」
ほとんど一列に並んで進んでいたのに、前から次々と骸骨が現れてきたことで、先頭にいるスレインさんが一人で相手をしなければならなかったために、彼だけもうヘトヘトになっている状況。
「まぁまぁ、先を急ごうよ。リッチが生活していたんなら広い空間もきっとある筈だよ」
正座する私の脇に、後ろにいたラルフさんが両手を差し込んで持ち上げてくれる。
ふわりと正座のまま空中に浮かんだ私は、足を降ろして着地した。
そこに前を行くローナさんが振り向いて耳打ちをくれた。
「大丈夫、怒ってるように見えるけど、それより探索の好奇心の方が勝ってるから、すぐに忘れちゃうわよ」
「そうそう、単純なんだ」
ラルフさんもそのまるっこいほっぺたを持ち上げて、笑いながら言ってくれることで、気持ちが軽くなる。
漆黒の翼って優しい人ばかりだ……。
「アイツは面倒見がいいのよ、あれも怒ってるんじゃなくて、スチルちゃんがこういった状況にならないように釘を刺してるだけなのよね」
「そうそう、不器用なんだ」
「だから、今までみたいにスレインを怖がらないでね」
ちょっと困った顔でローナさんが付け加えたことで、ちょっとした誤解が生まれてることを知った。




