家族への報告3
「その変わリ、他の物は全部あげるかラ」
「それについてなんですけど、遺物を勝手に所持すると罰せられることもあるみたいで、持って帰れないんですよね」
せっかくの申し出だけど残念。
捕まりたくないしね。
「それなら私が鑑定してあげるかラ、ダメなものだけギルドに戻せば良いじゃなイ?」
「えっ、鑑定できるんですか?」
「ううン、でも昔使ってたものとかだったら私覚えてるシ」
そっか、元々自分の持ち物とかだもんね。
「じゃぁ、その辺はスレインさん達と相談してみますね」
私はペコリと頭を下げつつ、手元の紅茶を手に取った。
富士子さんの依頼で自分で用意した茶葉だけど、結構良い香りが漂ってくる。
一口飲むと、ちょっとした苦味がさらに香りを奥深くさせるようだった。
心がほっと落ち着く瞬間だ。
と思ったのも束の間、私は紅茶を吹いた!
「ブーーーーー!?」
目の前で富士子さんが紅茶を飲んだからだ。
肉の無い富士子さんの口に運ばれた紅茶は、見るも無惨に顎からこぼれ落ちて行く!
だが、それをしっかり紅茶の受け皿で受けている。
「な……慣れてるんですね」
「伊達に500年も骸骨やってないわヨ」
もう、味とか香りとかそういうんじゃないんだって思う。
私の苦笑いを見て富士子さんは語る。
「人間だったときの行動をしておかないト、私は人間だった事を忘れちゃいそうデ……」
その言葉はどこか憂いを帯びていて、人間のまま不老不死になる物悲しさを感じさせるようだった。
いやもう死んでるんだけど。
「実際ご飯作ったり寝ないで良いのは便利だけド、そうなると暇なのよネ」
そっか、そういう考え方もあるんだ。
4階のゴブリンさんたちも、元々狩猟をやって過ごしていたんだけど、今はなにもしなくて死なないからって、最近はストレンジャーと戦うのも娯楽の一貫みたいだし。
状況が変わるって大変なんだ。




