森の出会い1
説明を終えた私は、ダンジョンマスターの部屋へと戻った。
もちろん今回はもう仕事も終わってたし、下着まで脱いで、全身で柔らかい良き棒クッションにダイブした。
「ずいぶん仲間も増えてきたねー」
遅れて追ってきたスラっちに語りかけながら、少し昔の事を思い出した。
──モンスターは人間に敵対する者ばかりではない。
私は幼い頃からそれを知っていた。
それは大事なある出逢いのお話。
私が生まれた家の近くに、小さな森があったんだけど。
それは本当に小さくて、一時間も歩けば、子供の足でも反対側に出てしまうような森だった。
そんな大きさだから、普段は悪い魔物も見かけないし、絶好の遊び場になってた。
なのに、ある日その森で身長が3mくらいのハイオークにであってしまう。
当時8歳だった私は「あっ、終わったな」て思ったよ。
戦う技術もないし、力だって絶対に敵わない。
デコピンされるだけで、細い私の首なんか一発で折れてしまうんだもん。
ただただ、恐ろしさに目をつぶる事しかできなかったのは覚えている。
だけど、そんなデコピンはいつまで経っても来なくって。
ゆっくり片目を開けてみると、頭を掻きながら困った顔で見下ろして彼がこう言ったの。
「あーっと、大丈夫 危ない ない」
8歳の私よりも辿々しく喋るもんだから、つい失笑してしたのを覚えてる。
もちろん、すぐに口を塞いだけど、ハイオークは機嫌を損ねるどころか、少しホッとしたような表情を見せてくれたんだよね。