ダンジョン五階の攻防2
スレインはなんだかしどろもどろなラルフのお尻を、パチンと音を立てて叩きながら急かす。
「話してないでさっさと入ろうぜ! こないだのコボルトだけじゃないんだろ?」
確かに、コボルトを追加したくらいでここまで利用金額ははね上がらない。
きっとそれを確認しに来たんだね。
「うん、ちょっとトラブルっていうか……思いがけず仲間が増えちゃって」
「言うこと聞かないなら、スレインお兄さんがお仕置きしてやるぞぉ?」
「いや、そういうんじゃないけど……」
スレインは指をポキポキ鳴らしながら笑顔で言う。
面倒見はいいんだけどちょっとだけ話が噛み合わないんだよねこの人。
「いいよ、入ってみようよ」
何だかワクワクしている雰囲気のローナさん。
ラルフもソワソワしていて、なんか小さい声で「スチルちゃんの家……入るの初めてだ」とか言っている。
「じゃぁ行くぜ」
スレインはハーピーの爪を3個、入り口のポストにいれた。
ゴゴゴゴと扉が開くと3人はその中に進んでいく。
そして手を振る姿を扉がその中に納めると、私を残して外は静かになった。
私も急いで後を追う。
といっても一緒に進んでいくわけではなく、管理者用の部屋から、操作盤で《漆黒の翼》の状況を観察する感じなんだけど。
「あ、もう3階まで降りてる」
一階はスライム部屋。
二階はアルミラージ等の野生生物。
三階はカブトやベアウルフ等の昆虫系。
そこも難なくクリア。
考えてみれば、4階のコボルトを捕まえて貰ったわけだし……次も勝てるわけ無いよね。
もちろん予想通り4階も凄いスピードで通りすぎていった。
しかし、彼らの凄いのはそこだけじゃなくて。
全部殺さずに無力化して進んでいるとこ。
これってほんと、ありがたい。
殺しちゃうと復活させるために魔素を使うから、ダンジョンが赤字になっちゃう。
もちろん殺しても良いんだけど、実力差がある場合なんかは生け捕りをする練習にもなるからって、殺さずに進んでくれる「優良パーティ」もたまにいるんだよね。




