ダンジョン五階の攻防1
ギルドに張り紙を出して、初めてのお客さんってのが、コボルトを狩りに行ってくれたパーティだった。
えっと……そうそう、スレインさんのところ。
《漆黒の翼》ってパーティ名はスレインさんの中二病が発動した感じだけど、ジョロモの街では注目されているらしいんだよね。
彼らが勤勉で、沢山の依頼をこなすというのもあるんだろうけど、一気にランク3まで駆け上がるのに、2ヶ月しかかかっていないのは凄いことなんだって。
「自分達よりちょっと強いモンスターと戦えばすぐに上がるさ」
そんなことをヘラヘラと語るスレインさんだけど、やっぱり実力ありきだと思うんだよね。
あと、運。これ大事!
例えばコボルトの目撃例があって、退治依頼が出てても、頭数もわからないことが多いし、コボルトシャーマンとかが統率していると、その戦力は倍と言っても過言じゃないわけだし。
コボルトをギリギリ倒せるからといって、安易に依頼を受けると命に関わっちゃう。そういうのに当たるかどうかは運次第だもんね。
そんなわけで命知らずな《漆黒の翼》だけど、人情味に溢れていて、皆にも慕われているんだとか。
まぁ、張り紙を見て一番に駆け付けてくれるって所からも、その人付き合いの良さがわかるよね。
「よっスチルちゃん、元気にしてたか?」
「ここ2、3日で病気になったりしませんよ」
実際のところ、張り紙の翌日……つまり街へ乗せて貰ってから3日しか経ってない。
いい加減な言葉にジト目を向けたけど、それでも気さくに笑いながら、馬を近くの木へ係留させている。
遅れてついてきたパラディンのラルフさんと、魔法使いのローナさんが口を開いた。
「ラルフがね、行こうってうるさくって」
「だ、ダンジョンなんか殆ど入らないし、たまにはいいかなって!」
何だかしどろもどろになっているラルフをからかうように話しかけて来る。
「ううん、ありがとう。まだ新しい子の実力もわかんないし、知ってる人が来てくれたら嬉しいよ」
私は本心から笑顔で語った。
「嬉しいって、来て良かったわねラルフ」
「俺も嬉しいですっ」
ラルフも何故か嬉しそうにしているし、お互いにメリットのある状況なんだと思うんだよね。




