スチル=ベルブラス2
簡素だけど清潔にされているカウンターごしに。
「お疲れ様でした」と業務的な対応が返ってくる。
拠点にしている街『ジョロモ』のギルド。
その受付嬢が、眼鏡をキラリと光らせながら、こちらに労いの言葉を投げ掛けてくれた。
「あ、でも私は付いていってただけなので……」
「そうですか、取り敢えず生け捕りの許可証を」
そう言いながら手を差し出して来たので、私は慌てて腰から下げていた許可証を取り外す。
それは白く輝く羽がついた、意匠が美しい金属の板。
《ストレンジャー》と言われる職業の人が身に付ける、登録証みたいなものだったりする。
それを受けとると、羽の方で机に置かれた石板のようなものを一撫でした。
眼鏡の受付の人は、ふわりと発光するように浮かび上がる文字を確認してから、許可証を返してくれた。
「はい、コボルト4匹ですね。死んでしまった個体の方は、依頼をこなしてくれたパーティへの依頼料に入れて良いのですか?」
「はい、お願いします」
本来であれば、モンスターの素材は換金され受けとることができるのだけど、これは倒してくれたあのパーティへお礼の意味を込めて、おまけにしようと決めてたんだよね。
「では、ダンジョンまではギルドのものが運びますので、裏口でお待ちください」
機械的に仕事をこなす受付嬢にお礼を言うと、指示通り裏口へ回ってく。
ギルドの表口は一般にも開かれていて、大きな門に分厚い木の扉で豪華な雰囲気を醸し出してる。
それに引き換え裏口が武骨な造りをしているのは。
戦闘を終えて泥や血でまみれたストレンジャー達が帰って来たとき、すぐに水洗いできるように、石畳と石壁で作られているからみたい。
あと、この辺で見かけることは少ないけど、竜みたいな大型モンスターを搬入することもあるから。
裏口は解体場まで直通になっいて、かなりオープンな作りなんだよね。
「あー、スチル=ベルブラスさん?」
さっきとは違う御者が声をかけてきた。
荷車には生きたまま縛られたさっきのコボルト。
死んじゃったやつは解体場にいっちゃったみたい。
頷いてそれに従うと、また荷車の旅が始まるワケで。




