運命の出逢い2
おたついている私にいち早く声をかけてくれたのは、青い鎧の剣士。
「おっ、その声はさっきのねーちゃんか!?」
最低限の距離を保ちつつも、話が出来そうなところまで近付いてみる。
ブカブカの鎧がガシャンガシャンいってうるさくて、その後の骸骨が抗議しているっぽい言葉は、聞き取れなかったんだけどね。
取り敢えず、そこそこの距離に着いて立ち止まったら「ここから出セ」だとか「私の力を見せてやル」だとか結構物騒なことを言ってるし、聞かなきゃ良かったって思ったよ。
私は油断なくそれに構えるけど、どうやらダンジョンの縛りが効いているようで、私に対して魔法を繰り出すほど敵意を持ってはいないみたい。
暫くすると、骸骨も戸惑いながらぶつぶつと文句を言うだけになった。
「結局何だったんですか?」
私の問いに、青い剣士は頭をかきながらも、分からないと言った風にお手上げポーズを決め込んだ。
代わりに座ったままのローブの男が、こちらに顔だけを向ける。
顔立ちは整っていて、剣士と同じく青みがかった髪を中分けにしており、メガネを掛けているのが印象的。
でもその奥にある目は無感情な雰囲気で、冷たい感じを受けた。
そしてその薄く形のいい口を開く。
「きっと我々がここにこうして動けているというのは、君のお陰なんだろうね。まずはそれに感謝する」
無機質というか無感情な感じで、怒っているとも喜んでいるとも取れないけど、低い割には聞きやすい通る声。
でも座ったまま言われても、いまいち感謝が伝わらないんだけどなぁ……とは思ったんだけど、まぁ一応「どうも」と答えておく。
それを聞き、ローブ男は更に私に質問してきた。
「それで、ここはダンジョンの中のようだが、何故私達は捕えられているのかな?」
メガネの両端を親指と中指で同時に上げると、返答を待つかのように私の目を見つめる。
「あ、えっと。何で貴方達を飲み込んじゃったか、私にも良く分かんなくって……」
ガチャガチャと鎧を鳴らしながら、両手をワタワタと振って私は返答した。
「はぁ? オメーにもわかんねぇって言われてもなぁ、どうやったら出れんだ?」
剣士の方は少し喧嘩腰なのか、強い口調で私に食って掛かる。
怖いなぁ。ヤカラだこれ。
「お前は逃げろ」って言ってくれたときの目は真っ直ぐで格好いいって思ったけど、前言撤回かも。
「だって、ダンジョンが人間を飲み込んじゃうなんて、初めて聞いたし……」
私は気圧されながらも、なんとか言い訳めいたことを口にした。
その状況に黙り込む二人。
しかし口を開いたのは一番右に閉じ込めてある骸骨だった。
「あラ、その二人、もう人間じゃないわヨ」
あっけらかんと言われて私は二人を凝視する。
しかし二人もこっちを見て、自分達は知らないと頭を横に振るだけだった。