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僕はいなくて大丈夫

作者: 左内

 ある夜テレビを見ていると、AIのニュースをやっていた。

 研究者たちの努力によって人工知能のできることは日に日に多くなっているようだ。

 このまま進歩していけば、いつか人間のやることは全部取られてしまうらしい。

 僕はふーんと思いながら食事を済ませてお風呂に入ってすぐに寝た。

 そしてちょっと不思議な夢を見た。


 夢の中で、僕は大きな建物の前にいた。

 それは毎朝通勤しているある施設だった。


 中に入ると僕のロッカーの前に、鉄の部品の塊がいた。

 ギリギリ人型に見えなくもない。

 僕のエプロンを身に着けて首(?)からは僕の名札を下げている。


 そいつは掃除機とモップを持って、フロアを掃除し始めた。

 僕と同じやり方、僕と同じスピードで。


 そいつはとても寡黙だった。

 周りで別の仕事をしている人たちが親しげに会話をしていても、まじることなく、気を取られることなく淡々と仕事をこなしていた。

 それでいて周りの人たちも、そんなそいつに水を差されるでもなく明るく仕事をしている。


 時々周りの人たちは、そいつに軽く声をかけた。

 そいつは全く反応しなかったけれど、周りの人たちはそれでよかったらしかった。

 むしろ反応しないのをわかっているから気軽に話しかけているようだった。


 僕の仕事風景と、似ているようで全然違った。

 そこにいるのが僕じゃなくて無機物のそいつだからだろう。

 僕は人間だから、暗い性格で空気を悪くする。気を使わせる。

 僕も鉄の部品の塊だったらよかったのに。


 そこで僕は目を覚ました。

 目をこすると、寝ている間に泣いていたみたいだった。


 その後僕は仕事を辞めた。

 僕の仕事はAIに取られた方がいいように思えた。

 

 実際誰も困らなかった。

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