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プロローグ
どれくらい、歩いただろう。
何千年も歩いた気もするし、ほんの一瞬、移動しただけの気もする。
やらなければならないことがある。
どうしても、変えなければならない。
だから、進まなければならない。
もう二度と、間違わないために。
もう二度と、失わないために。
今度こそ、ハッピーエンドをむかえるために。
古ぼけたフードを被り、一人歩く者がいた。
一寸先まで闇しか見えないというのに、その足取りに迷いはない。
何か、見えているのだろうか。
かの者の目には、アリアドナの糸が見えているのかもしれない。
…まあ、ボクには知る必要もないことだ。
男が去った跡、嘲笑するようにフルフル揺れた光は、闇に紛れ、消えた。