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3.精神世界

説明回です

目を覚ますと、周囲360度が純白の空間だった。遠近感覚崩壊しそうだ。僕は確か洞窟の大広間のような場所にいたはずだが........なんか最近こんなふうに起きると違う場所にいることがちょくちょくあるなあ........。


「お、起きたね」


背後から声が聞こえたため、振り返った。さっき周り見渡した時背後には誰もいなかったんだけどなあ。

そこには黒いローブを着た、中性的な顔の……女性、かな?が立っていた。


「あのー、さっきまでいませんでしたよね?いつの間にそこに?」


「ああ、少し用事をしていてね。さっき用事を終えて戻ってきてみたら、ちょうど君が起きていたんだよ。実にいいタイミングだ」


「は、はあ……」


この周りは遮るものがないので余程の速度で戻ってこない限り見渡した時に見えないような距離は移動してないと思うんだけど……


「いやー、にしても落ち着いてるねえ。普通なら何がどうなったのかとか、私が誰かとかそういうことを聞かれると思うんだけど、まさか最初に聞かれるのがそれとは。あと、私は女だよ。この見た目だから分かりにくいかもだけどね」


あ、確かにそういったことも気になるな。というか、今ナチュラルに心読んでたよね?いや確かに黒い髪もそんなに長くないし、体型もローブが隠してて性別不詳だとは思ってたけど。


「あ、うん。心くらいは読めるよ?なんせ、私神だし。神じゃなくても読めるヤツもたまにいるけど」


お、おおう……神様でしたか。そりゃあ心くらいは読めるよね。ラノベでよくある展開だ。あ、神様ってことはさっきも転移して現れたんだろうか?


「うん、それはそうなんだけどね?君なんでそんなに落ち着いてるの?私の言うこともすぐ信じてるし、少しは疑わないと詐欺とかに引っかかるよ?」


「だって嘘じゃないんでしょう?」


「まあ、そうだけどさ」


「それに僕は落ち着いてるんじゃなくて、ただ単に情報過多で一周まわって思考放棄してるだけです」


だって今日一日で謎の亀裂に異世界(?)転移、小鬼に襲われてしまいにはこれだよ?そりゃあ思考能力オーバーもするでしょうよ。


「あー、うん、なんと言うか、ご愁傷さまとしか言えないね……で、その辺のことを君に説明するために私が派遣されてきたんだけど、初めてもいいかな?」


「あ、ハイお願いします」


「わかった。

まず、君が見た亀裂なんだけど、あれは『時空の歪み』という自然現象でね。魔力溜まりに魔力が溜まりに溜まって世界の許容量を超えた時に起こるんだよ。普通なら文字通り空間に亀裂が入って時空の狭間に繋がるだけなんだけど、たまに別の世界に繋がってしまうことがあるんだよ。君にもわかりやすく言うなら、……そうだな、ゲームサーバーの容量を超えたせいでバグが発生したって感じかな?君たちの世界で言う神隠しは大体の場合これが原因だよ。

次に、この世界について。君の考え通り、ここは君たちの言うところの異世界だ。君はさっき言った時空の歪みに巻き込まれてこの世界にやってきてしまったんだ。そして、さっきの小鬼、こっちも君の予想通り、ゴブリンさ。弱いけど繁殖力が強くて、ほっとくとワラワラと湧いてくるゴキブリみたいなやつらだよ。

最後に、今のこの状況だけど、これは君が強制転生装置を起動してしまったから、とりあえず君の魂が肉体から解放された隙にここに呼び寄せたってわけさ。ここまででなにか質問はあるかい?なければ残りの説明に移らせてもらうよ」


「今強制転生装置って言いましたよね?明らかに字面がヤバいんですが、どういう物か教えてくれませんか?」


「強制転生装置というのは、文字通り強制的に転生させる装置のことだよ。正確には、キメラ創造の術式を改造した疑似転生の術式と高位の魔石、そして転生する本人の肉体を用いて、その魔石の持ち主と同じ種族へと種族を変える魔法さ。君の場合は真祖の吸血鬼の魔石だから真祖の吸血鬼に変わるね。禁忌に指定された術式な上に、編み出した本人とその弟子、術式や研究資料は私達が破棄するか記憶を消したから、もう残ってないと思ってたんだけど……予想外だったよ。多分こっそり研究を進めていた弟子がいたんだろうね。あの洞窟も研究施設を物理的、魔術的両面で厳重に隠してたから君が発動させるまで気付けなかった。私達のミスだ。本当にすまないと思っているよ。君が望むのなら、種族を元に戻したあと君を元の世界に送り届けよう」


なるほど……確かに送り届けてもらうのもいいかもしれない。普通の高校生ならそちらを選ぶだろう。しかし、僕に限っていえば向こうに戻ったところで特にメリットがない。親戚も、親しい友人もおらず、恋人もいない。毎日学校とバイト先と家とを行き来するのみで趣味である読書やアニメ鑑賞なんかも最近は出来ていない。残してゆくのが惜しいような貯金もないし、ペットも飼っていない。本当に向こうに戻るメリットが皆無なのだ。むしろ、こちらの世界の方が刺激的で楽しいかもしれない。命の危険はあるが、そんなのは向こうの世界でも同じだ。なぜならバイト代だけでこれから先生活費や学費を賄って暮らしていくなんて不可能だから。


「決めました。僕はこの世界で生きていきます」


「そっか。わかった。なら他に質問も無いようだし次の説明に移ろうかな。」


神様は微笑し、話しだした。


「この世界は、原初の神々が生みだした最初の世界。最も強く神々の恩恵を受け、極まった生命が新たな神へと至る事すらある世界。剣と魔法の世界であり、人族以外の種族も存在する、君たちの世界によくある異世界もののラノベに登場する異世界とよく似た世界さ。ステータスも一応あるよ?まあ、名前と種族、レベルやスキルに加護くらいしか見れないけどね。あ、あと、レベルが最大に達すれば進化して種族が変わるよ。条件を満たす必要があるけどね。スキル等についての説明は、欲しいかい?」


「お願いします」


「わかった。

通常コモンスキルは、そんなに珍しくないスキル、3人に1人から10人に1人くらいは持ってるよ。

希少レアスキルは、少し珍しいスキル、100人に1人から1000人に1人は持ってる。

固有ユニークスキルは、世界全体でもその人しか持ってないスキル、これを持っていると宮仕えに引き抜かれることが多いね。

伝説レジェンドスキルは、伝説に出てくる登場人物達が持っていたスキル。世界中でも1人しか所有していない。ユニークと違うところはユニークは歴史を紐解いても同じ能力を持ってる人はいないけど、レジェンドは歴史を紐解けば他にもいるということ。このスキルは少し特殊で、所有する生物をスキルが自分で選び、宿る。例外なく超強力なスキルだよ。

種族固有スキルは、その種族なら必ず持っているスキル。言うなら、その種族の特性とも言い換えられるね。

加護は神々が自らの力の一部与えることで獲得させる。持っている人数は基本的に1柱の神につき10人いるかいないかくらいだよ。力を分け与えているわけだから、与えすぎると神の方が弱体化してしまうしね」


「なるほど……ところで、言語はどうすればいいんでしょうか?」


「うん、じゃあ全言語理解っていうスキルをあげるよ。過去に持ってた人がいるから一応希少スキルだけど、実質ユニークだから気をつけてね?」


「わかりました。ありがとうございます」


「うん。あと、君は吸血鬼族の真祖としての新しい肉体を手に入れる。この力はかなり強力だけど、もし悪用して世を乱すことがあれば私達があなたの事を殺しに行くからね?くれぐれも、世を乱したりしないこと。それができるなら私たちの中から、君と最も相性のいい神の加護をあげる」


うわぁ……神々直々にとかおっかなすぎる。絶対悪用はしないでおこう。


「わかりました。決して力の悪用はしないと誓います」


「ウンウン。あ、でも覗きとかの小さいことなら私達からなにかすることは無いよ。覗きを良しとするわけじゃないけど。それじゃあ、もうそろそろ肉体が出来上がるから眠りなさい。君の魂に加護を付与して、時間が足りなくて伝えられなかったいくつかのことは纏めて君の近くに置いておくから読んでくれ」


その言葉と同時に僕はまた意識を失った。

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