百鬼 故人との再開
青すぎる程の空が疎ましくて
こんな日くらいは気分を沈ませて欲しい。
白御影石やら真壁小目石やらの家々が
辺り一面に立ち並ぶ。
色彩豊かな花束と
目一杯の水の入った木製バケツを
それぞれ両手に持ち。
暖かさと青臭さが混じった匂いが
私を歓迎しているようにも感じつつも
残念ながら私自身その匂いに思い入れがないので
全く関心を持てず
見渡すわけもなくただ目的の場所に向く。
あゝ退屈だ。
世間はつまらない。
何が悲しくて生きなくてはならないのだ。
これは怠惰か傲慢か
私は楽しみたいのだ。
だからこうしてお前に会いに来ているのだ。
どうせ聞いているのだろう。
私の独り言も
頭の中での一人語りも
きっと想像もできない出来事を
お前はやってのけるのだろう。
こうして私は墓地を抜けて廃墟にたどり着く。
統一性のない花束をお前の口に押し入れて
満タンの水を全てお前にかける。
「おはよう」
生まれ変わってくれるかな
私を楽しませてくれるかな
私の大事な蚕人よ。