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修行の成果

続きです。

この話も飛ばしていました。

修行初日から一週間が経過した。

ボクは、三十分で素振三千回をクリアし、縮地の応用であるステップを四メートルまでなら難なくできるようになった。

そして今は、ライカとウルフ討伐の依頼をしている。

ウルフは狼が魔素によって侵食され、凶暴になった魔物だ。

このクエストを受けたのは、ボクの今のレベルを確認するためだ。

ウルフは素早い動きをする。

そこでウルフの攻撃を躱し、一秒以内に三回攻撃する・・・という目標を立てて挑んでいる。

あの日以来、ボクはライカと距離を置いている。

この依頼でも、妙に気まずい空気が流れている。

それでも同じ家に住み、同じパーティーを組んでいるのは心のどこかでライカのことを想っているからなのか・・・。

今のボクはそのことは考えたくない。

と、そう考え込みながらライカとウルフを探していると・・・。


「ノア、ほらあそこ、あそこにウルフがいるよ」


ライカが前方を指差す。

そこには三体のウルフがくつろいでいた。

ボクとライカは茂みで姿勢を低くして見つからないようにする。


「ボクが引きつけるから、ライカは狙えるウルフからファイアボールで攻撃して」


「う、うん、わかった。でも三体もいるよ、大丈夫なの?」


「これはボクの今の実力を試す良い機会なんだ」


「わ、わかった、気をつけてね」


ボクは身体強化を使い、ウルフに向かって走る。

ウルフはボクに気がつくと正面から向かってきた。

ボクは方向を変えて走る。


「身体強化を使ったもボクより速いのか・・・。それもそうか、元は狼だったね・・・」


一体のウルフが、ボクの正面に回り込むために走るスピードを上げた。

ボクは横目にそれを確認する。

さらに後ろから迫ってくるウルフがすぐそこまで来ていた。


「今!このタイミングッ!」


ボクは、後ろから鋭い爪を立て、切り裂いてこようとするウルフに振り返り、正面に見据え、ステップで左に避ける。

そして跳び込んできたウルフの顔を剣で横に切り、首を縦に振り下ろし、胴を切り上げ、合計三回を一秒間で切って一体目を倒した。

ボクの切り上げと同時に、正面に回り込んでいない方のウルフが左から跳びかかってきていた。

ボクは、切り上げた後すぐにステップで後ろに下がる。

目の前をウルフが通り過ぎた。

その通り過ぎている間に剣で、ウルフの首を剣で振り下ろし、胴を切り上げ、最後にもう一度、振り下ろして二体目も倒した。


「よし、うまく言ってるぞ!最後の一体はーー」


ボクは最後のウルフを探して見つける。

しかし、すでにボクの目の前まで迫っていた。


「間に合わない・・・それなら!」


ステップが間に合わないと判断して、正面から跳び込んでくるウルフに対し、体を後ろへ倒しながらウルフの腹の下へ入り込んだ。

真上を通り過ぎるウルフのお腹に剣を突き刺し、三体目も倒すことができた。


「ふぅ、最後は危なかった。今はヘルムを被っているから最悪の結果は大丈夫だよね。慢心しているつもりはなかったけど、まだまだ修行不足だ」


確かな手応えと同時に反省もした。


「結局ノアが全部倒しちゃったね。いつの間にか強くなっちゃったんだね」


ライカは少し寂しそうな表情を浮かべている気がする。

声も弱々しく力がこもっていない気がした。


「まだまだだよ。もっと修行して強くならなくちゃ、師匠の足元にも及ばないよ」


この後ノアは二体、ライカも二体倒して依頼を完了した。





ウルフを討伐したボクとライカは、冒険者ギルドへ戻ってきていた。

ライカに依頼の報告を任せ、ボクはアンさんの待つ草原へ向かった。


「ノア君、昨日素振りをクリアしたから今日から五千回に増やすわ。身体強化も常時発動しなさい。そしておめでとう」


アンさんはパチパチと拍手している。

普通なら二千回も増えるのかよ。と、思うだろう。

しかし。


「五千回・・・が、頑張ります!今度は何分以内ですか?」


修行をすることで嫌なことを忘れられると思うと、苦ではなかった。

いや、むしろ強くなっていることが嬉しい。

忘れることよりも強くなることに気がいっている。


「同じ三十分よ。でもそれができれば一秒間に六、七回は切れるわ」


「本当ですか!?」


「うん、そうよ。私は嘘をつかないわよ?」


確かに今回ウルフに対して一秒間に三回切ることができた。


「アンさんのことを信じます!・・・もう素振りしていいですか?」


「せっかちね」


アンさんはクスクスと笑った。


「それじゃあ始めましょうか!」


「はい!一!ニ!三!四ーー・・・」





素振りを開始してから約一時間半が経過していた。


「ハァ、ハァ、さすがに身体強化しながら五千回は疲れますね」


腕がズシンと鉛のように重い。

それに痛い。

三千回をやった頃よりも重く痛い。


「お疲れさま。でも吐かなかったでしょ?今までたくさん吐いてたのにね」


「意地悪なこと言わないでください。吐いてるとこ見られるの恥ずかしいんですよ」


言われてみれば魔力枯渇で吐いていない。

一時間半もの間、身体強化しながら素振りをしていてもだ。

成長が実感できる瞬間はとても嬉しい。


「ごめんなさい。それじゃあ、ステップの修行しましょうか」


「も、もうですか・・・。わ、わかりました。やります!」


それから少しだけステップを行っていると、アンさんが。


「普通のステップはけっこういいわね」


アンさんはそう言うと、何か納得したように頷き、そして。


「ここからは連続ステップの修行よ」


「連続というと、右にステップしたらすぐに左に・・・という感じですか?」


「そうね、正解。それを極め、緩急をつければ分身も出せるようになるわよ」


「ぶ、分身!?」


分身なんてそんなことできるものなのか?

魔法で作り出すのではなくて?


「静と動を上手く使いこなすことできるのよ。でも今は素早く動くことに集中しなさい」


「は、はい、わかりました!」


そうだ。

まずは基本だ。


「連続ステップがスムーズにできるようになったら跳んで戦う戦い方を教えるわね」


この言葉でノアのやる気は一気に最高潮になった。

跳んで戦う・・・。これは出会ったときに見た美しい舞だ。


「アンさん!ボクはアンさんに弟子入りできて幸せです!」


「な、そ、そんなこと今言わなくていいわよ!」


アンさんは照れたように顔をぽっと赤くし、そらした。

可愛いところもある人だ。


「喜ぶ暇があるならステップしなさい!怒るわよ!」


「ご、ごめんなさい!連続ステップやります!」


ボクは連続ステップの修行を開始した。

右から左、左から後ろ、後ろから前。

体の重心を上手くコントロールしないといけない。

少しでもミスをすると・・・。


ズザザザアァァ


と、このように、人間おろしになってしまう。


「ノア君は真っ直ぐに人を褒めるのよね・・・。とても恥ずかしいわ。可愛いくせに爆弾を投下してきてーー・・・」


アンさんは一人ブツブツ言っていた。

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