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アンさんと一緒に初依頼

続きです。

さらに数日が経った。

この日は朝からアンさんと修行・・・という事にはならなかった。


「おはようございます、アンさん」


「おはよう・・・ノア君・・・」


なんだろう、この間は。

アンさんがいつもと雰囲気が違うような・・・。


「ねぇノア君。私はいつもノア君の修行を見てるわけだけどさ・・・」


「は、はい・・・。ボクはとても感謝しています。も、もしかして見捨てるなんてことーー」


「いやいや、そうじゃなくってね・・・」


アンさんはボクの言葉を遮った。


「私が今日ノア君に話したいは・・・」


「ボクに話したい事は・・・」


「修行を見てるだけじゃとても暇なのよね。王都にいるのは休暇なんだけど、見てるだけっていうのはけっこう辛いものなのよ」


アンさんはボクのの修行を見ているせいで自分のことは後回しになっているようだ。

修行の一環で、たまに模擬戦をするが手加減をしてくれているので、アンさんにとってはちっとも楽しくないのだ。


「だから今日からは、実戦という形で一緒に依頼を受けましょう。体も鈍っているし、ストレスの発散もしたいし」


ストレス発散という言葉に心臓がヒヤリとした。


「アンさんと一緒にですか?でも、アンさんほどの実力があれば全部一人で終わってしまいませんか?」


「私一人で討伐はしないわよ。どちらかというとノア君が戦うんだから。私はニ、三体殺れればいいのよ」


アンさんは美女だ。

そんな美女の口から、殺る。という言葉が出ると、異様な迫力が出てちょっと怖い。


「それでなにを討伐するんですか?ボクはDランクですよ?」


そう、ボクはまだDランク冒険者だ。

Dランクの魔物というと、ゴブリンの上位種であるホブゴブリンや、スパイダーの上位種であるポイズンスパイダー、そして狼の魔物ウルフなどなど・・・。

アンさんは、あの凄い剣術を見るからにAランク冒険者なのは間違いないはずだ。


「それはギルドに入ってから決めるわ。さぁ、楽しみね!」


アンさん今の、楽しみね!のときの笑顔が少しだけ怖かった。

ボクの修行のせいで相当ストレスが溜まっていることが証明されてしまった。

これから討伐する魔物はどうなってしまうのだろうか。





ボクとアンさんは冒険者ギルドに来た。

アンさんは早速、依頼を探しに依頼ボードへ足早に向かっていった。

そして何やら良さげな依頼の紙を手に、受付で座っている受付嬢さんにギルドカードと一緒に手渡した。

すると・・・。

受付嬢さんが慌てて立ち上がり、姿勢をきちんと正していた。

ボクは、アンさんはやっぱり凄い人なんだなぁ。やっぱりAランクなんだろう。と呑気にそんなことを思った。

それでも一瞬、アンさんがSランクだったり・・・いや、それはさすがにないよね。と頭をよぎった。

でも、そんな人がボクに教えてくれるわけないし、都合よく出会うはずもないと思い、冷静になった。


「それじゃノア君、行きましょうか」


「はい!・・・それでなにを討伐するんですか?」


「ん?オークよ」


「・・・え?オークってCランクの魔物じゃないですか!?ボク殺されませんか?」


オーク・・・頭部が豚で身長が二メートルほどの丸々と太った体をしており、他種族とも交配できるために、雌(女性)であれば見境なく発情して苗床にしようとする。

この世の女性の敵だ。

ちなみに雄(男性)は食料にされる。


「大丈夫よ。今のノア君にはオークの攻撃なんて当たらないわ。私と模擬戦してるしね。それでも危なくなったらちゃんと助けるわ」


「わ、わかりました!」


「じゃあ今度こそ行きましょうか」


ボクとアンさんはオークが発見された場所に向かうのだった。





今回オークの発見された場所は王都コーラス近くの森、コッコルスの森と呼ばれる森の奥地だ。

依頼は、オーク六体の小さな群れ。

そして今、ボクはそのオーク・・ではなく道中の魔物と戦闘中だ。


「はッ!」


戦っている相手は、Dランクの蜘蛛型の魔物、ポイズンスパイダーだ。

次々とこちらに飛んでくる毒成分を含んだ糸を切っている。

ポイズンスパイダー・・・全長一メートルぐらいの大きさで、毒の糸を発射してくる。

それに捕まると毒で体が徐々に弱り、そこを捕食されてしまう。

地味に怖い魔物だ。


「まずはポイズンスパイダーの懐に入らないと!」


ボクは飛んでくる糸を躱すために走りながらステップを右、左、右と繰り返して、ポイズンスパイダーの懐に入りこんだ。

そして横から素早く剣で四連撃をくらわせる。

ポイズンスパイダーに四つの深い切り傷ができるとそこから、ドバッと鮮やかな紫色の血が飛び散った。

今回の戦闘で、一秒間に四回攻撃できるようになったことを確認できた。

修行の成果は着実についている。


「ノア君、さっきの四連撃は良かったわ。それと連続ステップを走りながらできるようになっていて修行の成果が出ているわね」


アンさんが褒めてくれた!

いやいや、ここで慢心してはいけない。


「アンさんに褒められるのは嬉しいです!でもまだアンさんの足元にも及ばないです。でもいつかはアンさんに追いつき、超えます!」


「嬉しいこと言うわね。そのときになったら私を守ってもらおうかしら」


ふふふ。と笑いながらアンさんは言う。

そして。


「それじゃあ奥に行きましょうか」


「はい!」


ボクとアンさんはさらに森の奥地へと進んだ。





二、三時間ぐらい歩いただろうか。

ボクの前にはオークが六体いる。

今から数分前・・・。


「ノア君、この先にオークがいるのが見えるわよね?」


「はい、いますね」


「よし、じゃあ行ってきなさい。二体は私に残しておいてね」


「え?アンさんは一緒に来ないんですか?」


ボクは一気に不安になりアンさんに聞いてしまった。


「そんな不安そうな声を出さないの。私がこれ以上近づいたら匂いでバレるわよ?」


そういうことか、オークは雌(女性)の匂いに敏感だった。


「とりあえず修行の成果をあの四体で見せなさい」


そう言ってボクの背中を、とんっと押した。

・・・そして今に至る。


オークはボクの存在にまだ気づいていない。

最初の一撃が重要だ。


「とりあえず先制攻撃で一体は確実に仕留める」


ボクはそう決心し、ステップを数回連続で使い、一体のオークに接近した。

そしてオークの背中を四連撃で攻撃した。


『ブギャアァァァッ!』


オークは耳障りな声を上げたが、倒れなかった。

深手は負わせたけど討伐するまでには至らなかったようだ。


「クソ!今の攻撃で仕留められないなんて・・・!」


ボクはすぐにステップで後ろに下がり、距離を取りながら考える。

オークの体は分厚い脂肪がある。

それが邪魔で切っても致命傷にはならない。


「それなら首を狙うしかない!」


ボクはステップを横に、前にと使い、再び接近した。

オークは左手に持っていた棍棒を振り下ろしてくる。


「振り下すスピードが早い!でも・・・見えるッ!」


ボクはステップで左に避け、同時にオークの右足に三連撃で攻撃する。

痛みに耐えきれなくなったオークは、右膝を地面につけた。

今がチャンスだ!


「はぁッ!やぁッ!」


ボクは、オークの首に四連撃をくらわせる。

首回りの脂肪を切り、骨を断ち切り、首を吹き飛ばした。

頭の無くなった首からは、血が噴水のように噴き出した。


「あと五体・・・その中の三体を倒せってアンさんはどんだけスパルタなんだ・・・!」


ボクの近づいてきていた二体目のオークが棍棒で薙ぎ払ってきた。

ボクはそれをステップで安全に避ける。

しかし、背後から三体目のオークが横から棍棒を振り下ろしてきた。

それをすぐさまステップで横に回避し、さらに二体目のオークへステップを使い接近、右足を三連撃で攻撃する。

二体目と三体目のオークに気を取られていたボクに、いつの間にか、四体目のオークの棍棒での薙ぎ払いが迫っていた。

だが・・・。


「・・・こいつは馬鹿なのか?」


ボクは呟いた。

今ボクは二体目のオークのすぐ側にいる、そこを薙ぎ払うということは。


バゴンッ!ブシャアァァー・・・


ボクは冷静に薙ぎ払いを地面に伏せることで避けた。

しかし、その薙ぎ払いはボクの頭上を通り過ぎ、二体目のオークの頭をかっ飛ばした。

ボクは四体目のオークが薙ぎ払った後の隙を突く。

両方の足を一秒間で二連撃ずつ与え、膝を地面につかす。

そして首に剣の突き攻撃を突き刺し絶命させた。


「あと三体・・・うち一体を倒す」


そこで気がついた。

オークがボクの側に残り一体しかいないことに・・・。

辺りを見回すと、離れたところにアンさんがいた。

その足下にオークであっただろう肉片が転がっていた。

アンさんいつのまに・・・でも凄い。跡形も無く細切れにしている!

ボクの中でアンさんの評価がさらに上がった。


「よし、ラストだ!頑張る!」


ボクは、最後のオークにステップを使って接近した。

最後のオークは棍棒を振り下ろしてくるが、ボクはオークの股を潜って回避すると同時に足への三連撃。

膝をついたオークに向かってジャンプし空中で首に二連撃をくらわせ、血を大量に流させた。

そしてオークとの戦闘が終わった。


「ノア君、オーク相手に上手くステップして連撃を当てられたわね。ポイズンスパイダーの時よりもさらに成長してると思うわ」


ボクのヘルムをコンコンと叩きながら褒めてくれる。

それが素直に嬉しい。


「アンさんも凄いですね!オークを跡形も無く切り刻んでるじゃないですか」


「ストレス発散と鈍りを取り除きたくてね・・・。割と本気で切ったわ」


「そ、そんなにですか・・・」


「久しぶりに切ったし、ストレス発散になったからもう大丈夫よ。・・・それで今日のノア君を見て、次からの修行は素振り、体の使い方、実戦の順番でやるわよ」


アンさんのスパルタが発動した。


「ノア君の素振りは早くなっているし、体の使い方も、あとは回転とひねりを教えるぐらいだから大丈夫よ」


「アンさんが言うなら大丈夫ですね・・・。ボク頑張ります!」


「頑張りなさい。そうすれば私が切り刻んだ技・・・神速剣を使えるようになるかもしれないわね」


「神速剣・・・」


ボクは男だ。

これほどかっこいい技は、是が非でも使えるようになりたい。と、思うのだった。






ギルドに戻って依頼達成の報告をすると、ボクはCランク冒険者に昇格した。

不思議なことにギルドカードには討伐した魔物の記録が載る。

今回も、オークの討伐記録がちゃんとあったのだが、それをギルド側が信じてくれなかった。

しかし、アンさんが、ノア君はオークを一人で討伐できる。と、助言をしてくれたおかげで、その後はスムーズに進んだ。

昇格はボクにとって嬉しいことだ。

アンさんに一歩近づいたのだから。

ボクの冒険者ランクが上がったことは、ボクとアンさんを除くと、ギルドマスターとギルドの職員、その場にいた冒険者とロライドさんぐらいしか知らない。

というか、Cランク冒険者は普通な立ち位置なのだ。

わざわざ噂されるほど凄くない。

Bランク冒険者へ昇格するとそれなりに凄い立ち位置になる。

この昇格したことをボクはライカに伝えなかった。

見えない壁の距離があるからなのか、拒絶してしまっているのか、単にどうでもよくなっているのか・・・今のボクにはわからなかった。

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