1)プロローグ
プロローグ、短いです。
本日、2話、投稿します。
2話目を、午後6時に投稿予約しましたので、お読みいただければ幸いです。
m(_ _)m
学校からの帰り道、
「ねぇ、『聖ラブ』のキリアン皇子ルートってさ、かなり無理があるよね」
と、百華が言った。
「無理があるから、やりがいがあるんじゃない」
茜は答えた。
キリアン皇子を愛して止まない茜にしてみれば、キリアン皇子ルートしかやる価値がない。
「茜って、もし転生とかしたら、『聖ラブ』の聖女になるつもりでしょ」
「もち!」
「茜は、ジャイアンなみの超絶オンチだから、イケるかも」
百華が笑う。
「ちょっと、ジャイアンなみっての辞めてよ」
「だって、この間の音楽の歌のテストんとき、クラス中、呆然としてたよ」
「ほんの少し、音程をハズしただけじゃん」
「ハハ。
あの生真面目な音楽の相田先生に、『君はある種の才能がある』って言わしめたんだから、エラいわ」
「どんな才能かしら? 私、なにか、やっぱ、聖魔法が使えるのかも」
「ぶふぉっ」
「なに吹き出してんのよっ」
「で、でもさ、『聖ラブ』の聖女役は、オンチなだけじゃダメよね。
まず、ソラの攻略がムズ過ぎだし」
「ソラは、イベント多いよね。
あと、コツがあるのよ。
協力者が必要なの」
「へぇ。知らなかった。
シオン殿下も面倒よね」
「聖女の能力ってやつを上手く発現できないと会話のチャンスがないのよね」
「コウキとカイトは、シオン殿下が落ちれば付いてくる感じだけど」
「・・って言うか、キースレア帝国まで行ければ、でしょ」
「それでミスるなんて、よっぽどよ」
「そうでもないのよ、油断禁物」
と茜。
「とにかく、面倒よね」
百華が投げやりに言った。
「たしかにね・・。
・・魅了の魔法でもあれば、もっと楽かも」
茜は百華の言葉に同意しながら考え込んだ。
「んなもん、あるわけないでしょ。
私が思うに、『聖ラブ』のキリアン皇子の攻略は、ぜったいムリなのに、シャレで入れただけじゃない?」
と百華。
「シャレ? まさかぁ」
と茜。
「だってさ、あんな皇子、現実に居たら、ぜーったい、一生独身よ。
趣味の音楽に一途過ぎだし、国が一番大事みたいな帝国love皇子だし。
結婚できても、『国に益になる女だから』とか、愛のない結婚しそうだし。
じゃなかったら、従者と男色に走りそう」
「ちょっと、百華!
辞めてよっ」
「だって・・」
「皇子の悪口、私の前で言わんで!」
「悪口じゃなくって、事実・・」
「事実じゃないし」
「はいはい、じゃ、また明日ね」
「じゃね」
百華に言われなくとも、キリアン皇子ルートが難攻不落なのは知っている。
ホントに、魅了の魔法でもあったら、上手くいきそうなんだけどな。
茜は考え込みながら歩いていた。
おかげで、脇道から猛スピードで走ってくるバイクに気付かなかった。
前作の番外編&続き、になりますが、前作を読んで無い方も、違う物語として楽しめるかと思います。
「歌姫になりたいモブ令嬢とオンチな聖女」を読んでいただいた皆様、その後の展開など付け足しましたので、ぜひお読みくださいませ。
ソラ目線でないと書けないところを思い切り書けたので作者的には満足してます(^_^;)。
午後6時に、もう1話、長いのを投稿します。