1話
やるべきこと(通報)をしたので、気を取り直してドアノブに手をかける。というか今更ながら不安になってきた。相手が宇宙人ならキャトルミューティレーションとかされるのでは? いや、大丈夫だ。俺は家畜じゃないから平気なはず。
そしてドア少し開いたのだが、様子が先ほどと少し変わっていた。開けた時の光が強くなっている。この感じでは恐らくドアの前に何かいる。さっきまで廊下奥の部屋にた奴が。しかしこれでは中に入れないではないか。
などと眩しさに目を細めながら思案していると、唐突に声がかかった。
「おい、貴様。この家の主か」
声は家の中から聞こえてきた。これはつまり、謎の宇宙人カッコカリの声ということになるのだが、意外と聞きやすい声でびっくりだ。というかおっさん声だ。
「そうですけど、どちら様ですか?」
「針原三郎で間違いないな?」
「はあ、まあそうなります」
「ならさっさと入れ。それとも戸を隔てて会話をするのが礼儀なのか?」
針原は俺の名前だ。というか普通に会話してしまっている。日本語も通じるし、もしかしたら、ヒカリゴケを体中にくっつけただけのおっさんなのかもしれない。
やや高圧的な態度に少しムッとした。思わず語勢も荒っぽくなる。
「中に入ろうにもあなたが邪魔で入れないんですよ。入れっていうならその邪魔な光、どうにかして貰えませんかね。そもそも誰なんですか。勝手に家の中に入って、しかも馬鹿みたいに光って、正直迷惑です。というか何しに来たんですか」
「私は天使。貴様に話があってきた」