魔法使いと異世界人の出会いと別れ
それは、とある日の夜中の出来事であった。
突然、変な恰好をした男が、光に包まれやってきたのだ!
「お……おい、大丈夫か?お前」
そう声をかけると、ゆっくりと動き出した。
「……ここは?」
「ミレアス・シティーの近くの森だが……」
なんでこいつは、こんな事も知らねえんだ?
「つまり異世界って訳か……」
「んぇ、どしたぁ?」
「あ、いや何でもない……」
変な奴だ。
異世界だかなんだか知らねえが、寝ぼけてるなら寝ぼけてるで済ませてくれ。
「おっ、おい!なんだ、あのモンスターは?!」
「え……あー、鉄蜘蛛だな」
「ならばこの光の剣で……!」
おーおー。そんなひょろひょろの吹けば飛びそうな体格で良く剣を扱えるねーっと。
とりあえず焼いておこう。
「火炎球」
うん。虫の丸焼きの完成っと!
……あんまり見たくないな……
そりゃ、腹が減ってたら食い物として食うだろうが……
「な、何を……?」
おいおい異世界人さん、そりゃないよ。
「魔法だよ。ま•ほ•う!」
「それは分かるが……威力がおかしくなかったか?」
「いや、俺がやったら大概こーなるぜ?」
魔力量が高いやつは魔法の威力が上がるんだったか?
ま、不確かな情報はかえって混乱させるだけだし黙っとこ。
「んで異世界人さん、どーすんだこれから?
この世界の通貨とかは持ってるのか?」
「通貨って、何が使われてるんだ?」
「何って、金貨銀貨銅貨だけど」
「持ってない」
うん。素直でよろしい。
「とりあえず、金貨5枚やるからこれで飯でも食えよ」
まぁ5枚もあれば7日は生き延びれるだろう。
……魔法を使おうと思わん限りは。
「ありがとう。じゃ」
異世界人はすっくと立ち上がり、どこかへ行こうとしている。
多分街に行こうとしてるんだろうから、良いことを教えてやろうかな?
「そっちに街はないぜ?昨日魔族に潰された」
「先に言えっ!」