再度、部屋にて…
俊「ふぃ…家に着いたぜ…この時期でも暑いもんだなぁクソッタレ」
食材とビー…ゴホンゴホン…頭にビの付くジュースと楓の服装品を抱えて部屋まで来たので汗でビッタリになってしまっていた。
楓「すいません…私の物まで持ってもらっちゃって…」
俊「いいって事よ。別に苦にはならなかったしな。」
そう言って俺はニヒヒっと笑った。ソレには照れ隠しやら何やらが付加されていた。
俊「さぁて…ちょーっち時間早いが飯でも作って行くかね!」
楓「あ!私も手伝いします!」
楓は耳と尻尾をピョコピョコ千切れんばかりに動かしている。ナニコレ超可愛い
俊「いや、楓はテレビでも見てくつろいでいてくれ。怪我とかされたら嫌だしな」
楓「むぅ…」
そう言い、楓は頬を風船の様に膨らましている。つい指でその頬を押したくなる衝動を抑え、テレビのある部屋へと導いた。
俊「じゃ、大人しくテレビ見とけよ!間違っても料理してる俺にイキナリちょっかいとか掛けるなよ!怪我すっから」
楓「はーい。わかりましたぁー」
楓は手伝いをさしてもらえない事にご立腹…というか拗ねている様子で、気のない返事をした。あぁもう、子供かよ可愛いなチクショウ…
俊「さーってと…まずは何から作るかね…稲荷寿司でも作るか。」
独り言をポツポツこぼしキュウリやらといった具材を切っている時、熱い視線を感じた。その正体はと言うと…
楓「ふんふーん♪」
ニコニコ笑ってらっしゃる楓さんでしたー!ワーパチパチー…
俊「どうした?」
楓「1人で居ても何も面白くありませんでした…」
耳をショボンという擬音が聞こえてきそうな程にくたびれさせ、口を尖らして告白してきた。なんだコイツ、俺を萌え死させる気か?
楓「なので、俊さんのご飯を作る姿を拝見しに来ました!ブイ!」
なんだこれ…なんだこれ…し、死ぬ…萌え死ぬぅ!!…だがココは冷静かつクールに受け答えしようと努めた。
俊「そうか…まぁ楓がそう言うならべちゅに見てても構わないにょ」
無理だった様です。見事に噛みました。
楓「ふふっ…すっごい噛んでm」
俊「言うな!!」
再度茹でタコになっているであろう顔をそっぽ向いて隠しつつ料理を遂行したのであった…
………
俊「でっきあがりー!楓が好きであろう油揚げをふんだんに使ったぜー!!」
料理の献立は…油揚げがたっぷり入った味噌汁とキュウリと椎茸の入った具沢山稲荷寿司、そして厚揚げに片栗粉をまぶしフライパンで焼いた物である。我ながら上手いな…2重の意味で。
楓「わぁ…!凄いです!全部美味しそうです!」
目をキラキラと輝かし、羨望の眼差しで俺を見ている楓…超可愛い。もう食べちまいたいね…へへジュルリ
俊「なーに、一人暮らし同然の暮らししてるんだ。これぐらいは当たり前さ」
平静を装い言ってのけた。先の様に噛まなくて良かった…
楓「そうですか…」
俊「おう!」
楓「私も早く料理出来るようになりたいです…」
俊「まぁ、そう焦んなって。明日から料理少しずつ教えてやっからよ!」
楓「ホントですか!」
楓は本当に…本当に嬉しそうにコチラを見て声を大きくし真偽を問いかけてきた。そんなに嬉しそうにされたら冗談でも嘘だとは言えねぇよ…まったく
俊「もちろんだ!さ、それより冷めないうちに食べようぜ!」
そう言い俺は恐らくここ数年の中で一番の笑顔を楓にぶつけた。楓はそれを見てまた嬉しそうに、そして敢えて何も詮索せずに言った。
楓「そうですね♪では…」
俊&楓「いただきます!」