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番外編④~大斗のプロポーズ大作戦・前編~

 大斗さんとつきあい始めて、およそ半年が過ぎたころ。

年度末が近いこともあり、私も大斗さんも大忙しの日々を送っていた。同じ職場で、同じ家に住んでるのに…まともに会える時間は少ない。私が早く帰れても大斗さんが遅かったり、またその逆もある。朝はかろうじて一緒に家を出られるけど、大斗さんが早朝会議に駆り出されることもよくあって、あまりゆっくりはしていられない。

同棲してるから、まだ繋がりはあるものの…。別々に暮らしていたら、きっと1ヶ月会えないなんてのもあるだろうな。大半の社員は私たちの関係を知ってるけど、かといって社内で2人きりで会うというのも躊躇われる。

同棲カップルは結婚に結びつきにくいなんてよく言うけど、私は事実だと思う。朝から晩まで仕事に走り回る(これは私もそうだけど)大斗さんが、結婚を意識しているとは全く思えないのだから。


 「おはよう、凛」

「あ、おはよう。昨夜遅かったんだし、もうちょっと寝てていいよ」

時刻は朝の6時半。出勤時間まではまだ2時間ぐらいある。

凛は俺よりも早く起きて、2人分のお弁当を作ってくれていた。キッチンカウンターには、卵焼きとミートボールが置いてある。

「お互い忙しいのに、凛にばっかり負担かけられないよ。朝ごはんの用意するね」

「ありがとう」

これまでなかなか起きられなかった冬の朝も、同棲し始めてからは、早起きな凛につられて起きられるようになった。朝の出勤前は、2人で過ごせる貴重な時間だ。

凛との時間は俺にとって1番大切で、原動力でもある。最近はお互い忙しくて、あんまり長く時間がとれないことが不満だけど…。繁忙期が過ぎれば、有給使って温泉にでも誘おうかなーなんて考えてる。


 「そーいや、聞いた?高野が結婚するらしいよ」

昼休み、休憩室でばったり出会った山下と、お弁当をつつきながら話していたとき。俺はそんな噂を耳にした。

高野とは、俺たちの同期の男性社員。特別仲がいいわけではないけど、営業部時代は同じ課に所属して一緒に頑張っていたこともある。あの高野が、結婚。

「社内の人?」

「いや、他の会社だって。合コンで知り合った人らしいけど」

「へえー。あいつけっこう奥手な感じだけど、やるなあ」

感心して頷いていたら、山下が俺をじっと見た。

「おまえはどうなんだよ」

「…え?」

「結婚」

とっさのことで、頭が回らない。俺が結婚?

「特に、まだ考えてないよ」

するならもちろん凛とだけど、具体的なプランはまだ何もない。それに、今はお互い仕事も忙しくて落ち着かないし、一緒に住んでる現状に満足してしまっている気もする。凛のほうも、特に結婚を意識しているという感じはないみたいだし…。

俺がそんなことを考えていたら、山下が突然はあ~っと大きなため息をついた。

「俺たちもそろそろいい年だろ?いいのかよ、そんな悠長なこと言ってて。ただでさえ、同棲してると婚期逃しやすいのに。相手がいるうちが華だと思うけどね、俺は」

山下は、ずっと手に持っていたサンドイッチにようやく口をつけた。パンに指の型ができてそう。

「相手がいるうちって…。俺と凛は仲良くやってるし、このまま一緒に暮らして、いつかは結婚するんだと思うけど」

「いつかって、いつ?」

「…そんな急ぐ必要ないだろ」

本当に結ばれる運命の2人なら、無理に焦らなくても別れることはないと俺は信じている。凛だって、きっと今は仕事が楽しいだろうし。

俺が再びお弁当に視線を戻したら、山下はこんなことを言い始めた。

「いいのかな~。凛ちゃん、おまえとつきあってるって噂広まっても、相変わらず人気だけどな~。おまえはいつでもいいって思ってても、凛ちゃんは不安抱えてるかもしれないよな~。そんなところへ、他の男につけ込まれたら…」

「俺、凛にプロポーズする!」

山下の言葉に触発され、気づけば俺はそう宣言していたのだった。

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