表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/32

番外編②~企画部のアイドル~

 あれは、俺が凛とつきあい始める前の出来事…。

年度初めで仕事が忙しい時期、うちの会社ではたまに休日出勤をすることがある。とは言うものの、午前中だけとかの時短勤務ではあるけれど。

5月のあの日も、出勤可能なメンバーだけで仕事をすすめることになっていた。


 「課長、来週の会議の資料なんですが、確認お願いします」

「わかった。これが終わったらすぐに見るよ」

部下から、出来たてほやほやの資料を受け取り、なくさないようファイルに挟む。

課長の仕事にも少しは慣れてきたけど、することが多くてまだまだ効率は上がらない。残業をするほどではないものの、性格上やはりこのままではだめだと思ってしまう。

 今日も朝から仕事が山積みで、ついつい目つきも険しくなっている気がする。が、そんなことは気にしていられない。

はあー、もう11時か。遅くともあと2時間で退社しなくてはいけない時間だ。仕事を持ち帰ろうかどうしようか考えていたら、すぐそばで

コン…

という音がして、俺はふと顔を上げた。

「課長、そんなに根詰めないでください」

デスクにコーヒーの入ったマグカップが置かれていて、おぼんを持った皿池さんが俺のすぐそばに立っていた。

「お手伝いできることがあれば、何でも仰ってくださいね」

彼女の可愛らしい笑顔と優しい言葉に、なんだか体の力が抜けていくような気がした。

「ありがとう。その気持ちだけで嬉しいよ」

皿池さんはもう一度にこっと微笑んで、自分の席に戻って行った。

はあ…。まさに、アイドル。

少し前に2人で残業した日から、俺は彼女のことが気にかかっている。あの笑顔がたまらなく好きだ。もっと笑顔が見たくて、休憩中に他の社員と話しているところへ入って行って、冗談を言って笑わせたりなんかもするぐらい。…いつか、あわよくば俺だけに…。

なーんて思いながら、彼女を目で追ったら、他の社員たちも顔を上げて彼女を見ていることに気づく。そして、その傍らにはおそらく彼女が淹れたであろうコーヒーが…。

…なんだ、みんなに淹れてあげたのか。

少しがっかりはしたものの、俺はやっぱり彼女のそういうところも好きだなあなんて思いながら、少し甘めのコーヒーに口をつけるのだった。


                  ~Fin~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ