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噂の2人

 「過度の栄養失調、不眠、過労が積み重なった結果ですね。今はよく眠っていますし、点滴が終わればすぐお帰りになってけっこうですよ」

先生の言葉を聞いて、ほーっと安堵した。

オフィスで倒れたときは、本当に焦った。課長にもしものことがあったら…って思ったら、気が気ではなくなった。まわりを気にせず、つい走り寄ってしまったのだ。

 「しっかし、驚いたわよ。皿池さんが課長のところに走り寄って、大斗さん!って叫ぶものだから…」

一緒に病院まで付き添っていた課長補佐の新藤さんは、笑いながら言った。

私が大斗さんの体を揺すりながら混乱している間に、落ち着いて救急車を呼んでくれたのは新堂さんだった。

「…すいません。つい、取り乱してしまって」

「まあ、2人に何があったのかは知らないけど、これでわかったことがあるんじゃない?」

「はい…。……って、えっ、2人…って、気づいてたんですか!?」

目を見開いて新堂さんを見ると、そんな私がおかしかったのか、新堂さんは声を上げて笑った。

「なに、いまごろ。企画部の人たちはほとんど気づいてると思うけど。…だって、吉川課長とあなた、ちょうど同じ時期に明るくなったり元気がなくなったりするんだもの。もし何の関係もない2人だったら、そんな偶然、あり得ると思う?2人は企画部のムードメーカーだって、みんな言ってるわよ」

「えー!?」

そんな…。みんな知ってたなんて…!

新堂さんは私の肩にぽん、と手を置いて、にこっと微笑む。

「吉川課長は女性から人気のある人だし、大変かもしれないけど、少なくとも企画部の人たちはみんな味方だから。その証拠に、部外には知れ渡ってないでしょ?」

「あ…」

「だから、大丈夫。自信を持って。…じゃあ、私は先に会社に戻るわ。あなたは課長についててあげて」

「あっ…、はい」

手を振りながら病院を出ていく新堂さん。

私は本当に人に恵まれているなあ…と、心底思ったのだった。


 長い夢を、見ているようだ。

真っ暗で、果てしなく続くトンネル。歩けど歩けど、先が見えない。

そんななか、一筋の光が見えた…気がした。

 「…ん………」

ゆっくりと目を開けると…、そこには…

「大斗さん!わかる?ちゃんと見えてる?!」

「…り、ん……」

最愛の女性・凛がいた。

「よかったー…!」

凛は涙ぐんで、俺をぎゅうっと抱きしめた。こんなことをしてもらえるのなら、たまには倒れるのも悪くないな…なんて思いながら、俺は凛の頭をそっと撫でた。

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