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すれ違い

 このごろ、目に見えて凛と阪本くんが仲良くなった。よく2人で帰っていくのを見かけるし、部内では2人の噂が囁かれたりもしている。

凛は連絡しても相変わらず反応してくれないし、家に行っても出てきてくれない…。恋愛初心者の俺は、もうこれ以上、どうすればいいのかわからなくなっていた。

凛はもう、俺のことなんて好きじゃないのかもしれない。

そう思うと、なんだか足元から崩れ落ちてしまいそうで…、俺は仕事に没頭するほかにはなにも思いつかなかった。


 「ねえ。最近、吉川課長すごく痩せたよね」

「…そうですか?」

仕事の合間に、1つ上の畑中先輩が耳打ちしてくる。…たしかに、最近の課長は顔色が悪い。

もともと細身なのに、ろくに食事をとっていないのか、すごく痩せたし…。会社にも、いつも一番遅くまで残ってるって噂だ。なんて、私が心配しても仕方ないんだけれど。

課長とはあれ以来、プライベートでは一切連絡をとっていない。オフィスなら毎日会えるのに、弁解しようとしないってことは…、森山さんとのことを認めるってことなんだと思う。もしくは、私とのことをよほど知られたくないのか。

課長との関係を他の社員に知られることは嫌だけど、それで関係が元に戻るなら…課長もそれを望んでくれるなら、きっと行動に移してくれるはずだと信じていた。

 …そんなとき。

「きゃあ!大丈夫ですか、課長!!」

突然叫び声が聞こえて、はっと課長席を見ると…、課長が床に突っ伏して倒れていた!

「課長!?」

あたりにいた社員たちがおろおろと遠巻きに見守るなか、私は思わず駆け出し、課長を仰向けにする。そして床に座り込み、課長の頭を膝に乗せた。とっさの行動に、正直自分でも驚いている。

「大斗さん!しっかりしてくださいっ」

思わず口に出したのは、『課長』ではなく、『大斗さん』…。

頬に手を添えて叫ぶと、課長がうっすらと目を開け、私に向かって手を伸ばす。私はすぐさまその手をとって、自分の頬に当てた。

「…り、ん…?」

「はい…っ、ここにいますっ」

「はは…っ、また、敬語だ…」

そう言って、課長は意識を失った…。

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