突然の告白
「ねえ。吉川って、企画部の皿池さんとつきあってるの?」
帰り道、俺と森山だけが違う方向だった。けれど、これはべつに仕組まれたわけではない(と、信じたい)。
「その前に聞きたいんだけど、金曜の夜…何があったか教えてくれる?」
「彼女に聞いてないの?」
森山は少し驚いたような顔をした。
俺と凛が修羅場にでもなったのを想像していたんだろうか。
「うん。だから森山に教えてほしいんだけど」
「いいよ。あの夜は、吉川の家に行ったら皿池さんがいた。そして、酔った私とあなたを見て帰って行った」
こともなげにあっさりと言う森山。本当にそれだけなのだろうか。
逆にあやしい…。
「ねえ。あななたちって、どういう関係なの?まさかつきあってるんじゃないよね」
「そのまさかだよ」
森山は驚き、目を見開いたが、その直後に俺の背後の何かを見て「あっ」と、さらに目を大きく開いた。
「…あれを見て、それを信じられると思う?」
「え?」
森山が指さした方向を見ると……、凛…?
大通りの反対側を、凛らしき女性が歩いているのが見えた。そして、その隣には……、阪本くんがいた。
「じゃあ、私彼氏のとこ寄ってくから、ここで!」
加奈子とは、お店を出てすぐにわかれることになった。彼女は営業部の先輩とつきあっているのだ。
「わかった。気をつけてね」
「また飲もうな」
「うーん!じゃあねー」
加奈子が歩いていくのをなんとなく見送っていたら、阪本くんが隣でふーっと息を吐いた。
「じゃ、俺たちも行こう」
「うん!」
阪本くんと2人並んで、駅まで歩く。加奈子と3人でっていうのは入社以来よくあったけど、こうして会社以外の場所で2人きりになるのは初めてかもしれない。
課長ほどは身長が離れていなくて、また違った安心感がある。
「…なあ、皿池」
「んー?」
「俺とつきあってよ」
「……え?」
阪本くんが立ち止まる。それに合わせて、私も止まった。ほろ酔いだった頭は一気に冴えたけれど、突然すぎて何も考えられない…。
「俺なら、お前を裏切るような真似はしない。絶対課長より大事にする」
彼の言葉をすぐには飲み込めなくて、混乱しそうになる。
落ち着け、落ち着け私…!
「で、でも、阪本くん彼女いるんでしょ…?すっごい美人の」
「あいつとはとっくに別れてる。それからずっと、お前のことが好きだった」
「えっ…、そんな、急に言われても……」
ぐっと肩を掴まれ…、抵抗する間もなく、強く抱きしめられた。ほんのりと煙草の匂いがする。
課長とは、違う匂い…。
「お前が課長といい感じなの、ほんとは前から知ってたんだ。それで…ずっと、嫉妬してた。返事は急がないから。課長のことを忘れるために俺を利用してくれたっていい。そのあとに、俺だけを見てさえくれれば。…だから、真剣に考えてくれないか」
「……うん…」
阪本くんの突然の告白には驚いたけれど、私はただ、単純に嬉しかった。




