うちにおいでよ(後編)
バターチキンカレーと葉物サラダ、そして生春巻きという、ちょっとお洒落なディナーの完成。セッティングもばっちり。
「わー!おいしいー!!大斗さんって料理も上手なんだね」
「凛が手伝ってくれたからだよ。俺1人じゃ、こんなに上手に作れないし」
大斗さんがおいしそうに食べているのを見ると、なんとなく安心する。
空腹も手伝ってか、私もどんどん食べ進めた。
「大斗さん、普段からけっこう料理するの?」
「時間あるときは多少するけど、最近はほとんど作らないかな。それに、1人で作って食べても味気ないし」
「そうなの?すごく手際良いからびっくりしちゃった」
「それは、凛にいいとこ見せたくて張り切ったんだよ。…なんだか、凛と一緒にいるとすごく楽しいし、やる気も出る。俺、普段こんなに食べないのに」
“こんなに”って言ったけど、お皿によそったのは普通の1人前だと思う。…大斗さんって、普段どんな食生活なんだろう。なんだか心配になってきて、
「これからも時々、ここでご飯作ってもいい?」
気づけば、自分からこんなことを言っていた。
大斗さんは少し驚いたような顔をしたけれど、
「もちろん」
すぐに嬉しそうな顔をして、にこっと笑ってくれた。
洗い物を終える頃には、もう22時を回っていた。
「じゃあ、私はそろそろ…」
バッグとカーディガンはどこに置いたっけ、と部屋を見渡していると、大斗さんに後ろからふわりと抱きしめられた。
「…もうちょっと、一緒に居たいな」
むき出しのうなじに、大斗さんの熱い吐息がかかる。
誰かの息遣いにこんなにドキドキすることがあるなんて、知らなかった…。
「でも…、遅くなっちゃうし…」
「泊まっていってもいいよ」
「えっ…」
なに、この漫画かドラマみたいな展開。
「明日は、何か予定ある?」
「…お昼過ぎから、友達と会う約束してるけど」
「じゃあ、朝はゆっくりできるね」
「えっ、あの…」
赤くなって戸惑っている私に、大斗さんはにこっと笑いかけて、
「お風呂入れてくる」
と言い残し、バスルームへと消えて行った…。
最愛の彼女・凛が、初めてうちに泊まった日の翌朝。
朝の日の光と共に、俺はこの上なく穏やかに目を覚ました。なんだか、久しぶりに安眠していたみたいだ。
「ん……」
そして腕の中には、凛…………が、いない!
なんで!?どこに行った!!




