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失礼噛みまみガブリ

「お、おおお初にお目にかかります! わたし、シアーズ王国から参りました、ジュリアス・サージェンドと申します! ふつつっつ、ふつつかものですがよろしくおねがいします」


うわ、噛んじゃった。

扉の向こうはキラキラ集団でした。やばい、まぶしい、これは美人オーラだ。あとカリスマオーラも混ざってるぞ。いかにも、なきれいな服着てるし。つか噛んじゃったよ。いいのかな一応天才美少女って設定なのに。

なぜわたしがお辞儀をしたのかというと、実はマナーとかがまったくわからなかったからである。もうこうなったらやけくそだ、と思い切ってやったのが、お辞儀。ほら、日本のお辞儀文化はいまや外国にもみとめられ始めてるしね! ……はい視線が痛いです。王族からの視線が痛いでゴワス。「大丈夫かこいつ?」みたいな目で見られてるんでしょうねエヘヘ。


「お顔を上げてください、ジュリアス先生」


低い、でも心地よい、さらさらとした乾いた声が聞こえた。うわ、声までイケメンなのかよ、と顔を上げると、長い金髪を後ろで縛った、緑色の瞳を持った男の人が立っていた。おそらく、王様だろう。王族ってやっぱイケメンねー。某イギリスの皇太子とかとかとか。


「わたしの名は、ベンジャミン・カークランド。家族を紹介しましょう。わが妻、クリスティー・カークランド。とても信心深く、穏やかな人だ」パンプキン色の髪に、黄色の瞳をした女性が一礼をする。「そして第一王子の、ダンテ・カークランド。頼もしい長男だ。その双子の妹のジュリアナ・カークランド。頭のいい子だ」銀髪の少年と金髪の少女が揃って一礼する。って、第一王子!? なんだよまだこんなに小さい子じゃん! どのへんが狙いどころなんだよクロ!!

「第二王女のイライザ・カークランド。とても大人しい子だ」パンプキン色の髪をした少女が一礼する。うわかわいい。「そして末子の第二王子、フェリックス・カークランドだ。天才肌でねぇ、きっと芸術面にその才覚を発揮するだろう」パンプキン色の髪をした少年がこちらをじーっと見つめる。いや、一礼くらいしろよ。まあでも、見たところ五歳くらいだし……小さいから仕方ないのかな。ってか、見事に子供ばっか。やべえ、別に玉の輿を狙いたかったとかそういうのでもないけど、でも、ショタとロリしかいない。最年長が十二歳って、お前。小学生じゃねえか。


「よ、よろしくお願いします……」


顔を引きつらせながらなんとか声を絞り出す。まあ、教えるほうとしてはありがたいのかな……。教えることが、基礎レベルのことだけになるし……。


「先生、歓迎パーティーを八時から行うので、それまでは自室でゆっくりいらしてください」


にこにこ、きれいな笑顔を見せながら王さまが言う。うわ、歓迎パーティーとか、わたし主役じゃん。本音を言うと面倒だ。でもとりあえず、「お言葉に甘えて、そうさせてもらいます」と言っておく。それを聞いた王様は、満足そうにうんうんと頷いて、召使の人に指示を出す。そしてわたしは部屋を退出して、召使の人の後を着いていった。








「ふふふ、ふふ」


センセイが出て行って、おとうさまとおかあさまも用事があるからと部屋を退出なさったあと、ジュリアナは少したってから笑い出した。傍から見たら、不気味極まりない。おれは弟妹たちを退出させてから、ジュリアナに話しかける。


「どうしたんだよ」


「ふふふ、いえいえ、ダンテ。みました? あの人」


「あー」おれはセンセイのことを思い出す。不安そうに顔を真っ青にしながら、自己紹介をしていたこと、あの小さい背や、ちっさい胸。うーん、やっぱり肉つきはいいほうがいいんだけどなぁ。


「美少女って、まあ確かにそうでしたが、いかんせん胸がですね」


「おい、はしたないぞ」女性がムネムネいうもんじゃない。一応ジュリーはお姫様でもあるし。


「子供体型にもほどがありますし……。それにあれじゃあ、おとうさまもあの人に手を出すことはないでしょう」


まあそうだろうなぁ。あのオジギに、そして、あの黒い髪に黒い瞳。確かにきれいな顔で、整ってるし、不細工じゃない。とうさまも、あんな子はタイプだろうけど、でもとうさまはあの人を選ばない。黒髪黒目はだめなんだ。


「でも、一応釘をさしておかないと」ジュリーが部屋から出ようとする。「なにをする気だ」



「だから、いったでしょう。教えてやるんですよ、あの家庭教師に」




父の黒いところも。現実を。






誤字修正しました。報告ありがとうございます。

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